死の先に在るモノ

第5話「圧政者」(タイラント)

特務機関本部・司令室にて……
ロイとセリーナが黙って報告を聞き続けていた。

レオン「……以上が、事の次第です。3級守護天使・犬のテレーズの捕獲・送還に成功、
    既にサキから魔封瓶を受け取っているはずです」

セリーナがうなずくのを確認して、レオンは言葉を続ける。

レオン「あと、魔獣レベル7の呪詛悪魔・鳩のハリーの消去に成功。……以上、任務完了」

ロイが口を開く。

ロイ「ずいぶんと手際が悪いな」
レオン「仕方ありません。現在、サキの状態が如何ほどの物か、ご存知でしょう?
    結果はとして職務に忠実なだけの人間に犠牲者……いや我々が殺した人間は
    今回は出ませんでした。それについて慶賀すべき事態だとは思いませんか?
    それに……サキは7級神ですが、それは昇級試験を受けていないだけであって……
    実際に戦闘能力のみで言えば4級神か3級神に相当します。
    そんな貴重な戦力と3級守護天使とでは、全く割に合う収支ではありません。
    いかがでしょうか?」

暗に上層部の責任を追及するかのようなレオンの発言に、ロイは腕を組んで黙り込み、セリーナは心配そうな表情で両者を見比べる。

ロイ「今回の報告書は1週間以内に提出するように。以上だ」


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