ハリー「……ぶごほぉっ! ……ひ、卑怯だぞ……」
辛うじてそれだけ言うと、力尽きたように口から血を吐きながら膝を付き崩折れるハリー。
レオン「それは身に余る光栄ですな……感謝の言葉も無い」
ハリーが薄れ逝く意識の中で最後に聞いたのは、レオンのきつい皮肉であった。
そして、誤算その2。ハリーは、いくらレオンでもテレポートが封じられる結界内にはテレポートできまい、と思っていた。
結界に背を向け、左右に気を配り、背後以外からの奇襲に備える。ハリーの背後に出現するという事は自らの逃げ道を狭める事になる。そう判断した。結界内にテレポートするはずが無い、ナイフなどの近接戦闘用の武器しか持っていない……とハリーは思いこんでいた。
その判断ミスと誤算が重なり、命を奪われる結果になった。
そう……最初のテレポートもナイフでの戦闘も実は全てフェイクだったのある。
レオンは結界内にテレポートし、そこから拳銃を撃ったのである。
レオン「アバヨ、魂の迷い児……」
弾倉に残った銃弾を全て、倒れたハリーの左胸に叩き込む。
銃で撃たれる毎に手足が跳ね上がったように痙攣し、やがて動かなくなる。
ハリーの死体は次第に、光の粒となって消えていった。
レオン「策士、策に溺れる……この言葉を地で行く気分はどうだ?」
光の粒となったハリーを見守るレオンは、安堵と哀れみの入り混じった複雑な表情を見せていた。
レオン「ハリー……哀れな奴……いや、俺も同類か……」
小さくかぶりを振ると、気を取り直してテレポートする。
役所の世界に……