レオン「サキ……サキ……起きろ」
サキ「……う……ううん……ここは……到着したの……?」
レオン「ああ、飛び降りるぞ」
サキ「……え……?」
レオン「無賃乗車が発覚したら拙いだろう?」
そのレオンの声に、サキは慌てたように返答する。体のだるさは残っているが、短時
間ではあるが休息できた事で少々は楽になっていた。
レオン「……よし準備できたな!行くぞ!」
二人はカーブに差し掛かかり、列車が速度を落とした時点で一気に飛び降りる。慣性で大きく転がるように走る。だが二人とも大きな怪我は無く、無事に着地できたようだ。
もっとも、飛び降りた際、多数の擦り傷や軽い打撲ができたが……。
レオン「大丈夫か? ……ここからは歩く事になるが……」
サキ「……私は平気……ところで……レオン……あなたは……ここの……地理に……詳しいの……?」
レオン「まあな。俺はこの辺りを拠点にしていた反政府ゲリラ……そこの伝書鳩だったんだ」
二人は獣道のような、道無き道を歩き続けて半日、レオンのおかげでほとんど迷う事
無く、順調に国境を越える。そして、ようやく開けた場所に出る。地図の上では隣国
になっている場所であった。
レオン「よし、ここでテレポート封じの結界が途切れたな」
突然レオンの口調が険しい物に変わる。
レオン「……貴様がそこにいるのは解っている。出てきたらどうだ?」