死の先に在るモノ

第3話「追跡者」(チェイサー)

とあるマンションの一室・・・そこに荒い息を繰り返す大男の姿があった。

大男「はあっ、はあっ、くそう!・・・あれが・・・追跡者か・・・はあっ、はあっ」

すると奥の部屋から、先ほど逃げた少女が驚いて出てきた。
 
少女「どうしたのだ?カイ、何があった?」
大男「リキが・・・殺られた・・・」
少女「な!」

カイというのが大男、リキというのが小男の名前のようだ。
少女は信じられない、という表情で絶句する。

少女「・・・一体どうすれば・・・」
カイ「早くここから逃げるぞ!」
少女「え?でも・・・」

カイは渋る少女を宥めようとする。

カイ「ここでなくても、人間どもに復讐することは・・・うっ!!」
 
ベランダから逃走しようとしていたカイと少女を阻むように、窓際にレオンが立って
いた。

カイ「何故ここが?!」
レオン「案内ご苦労さん」

皮肉っぽくニヤッと笑いながら言うレオン。
慌てて、玄関から逃げ出そうと振り向く少女。しかし目の前には・・・
 
サキ「・・・残念だったわね・・・」

サキが気配を感じさせずに立っていた。

少女「えっ?!ぐふっ・・・」

サキが当て身で気絶させ、そのまま抱きかかえる。

サキ「・・・彼女は返してもらうわ・・・」

ここに至ってようやく、カイは守護天使の思惑を理解した。
リキを始末した後、自分をわざと逃がして根拠地まで案内させる・・・

カイ「お、おのれぇぇぇ!」

怒りの声も、こうなっては虚しいだけであった。
 
カイ「こうなったら、女!お前だけでも・・・!」

先ほどリキを葬ったレオンを強敵と判断、
自分の前に手も足も出ない(と、勝手に判断していた)サキを標的に選んだ。
それはまさしく、猫と虎、犬と狼とを見誤る判断であった。
カイはサキの実力を把握出来ていなかった。また自分の力に奢る傾向があった。
サキは自分自身の能力を正確に知っていた。また先程の戦闘から、カイの実力も判断がついていた。
敵を知らず己も知らざりし者、敵を知り己を知る者・・・
刃を交える前から勝敗は決まっていた。

少女を抱きかかえたまま、片手で剣を抜く。

サキ「・・・愚かね・・・格の違いも判断出来ないとは・・・」

カイは戦斧もろとも、サキの剣によって頭から一刀両断されていた。
断末魔の声を上げる間も無く、カイは光の粒となって消えていった・・・


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