セリーナ「・・・レオンからの報告は以上です。
『あの者』はサキに完全に滅ぼされたようです。
そして『あの者』に取り込まれていた・・・
多数のご主人様達の魂も解放され、輪廻の環に還りました。
わたくしが極秘裏に『あの者』と接触して『例のご主人』の情報を提供し・・・
彼を襲わせたかいがあったという物です。
その一方で、この『あの者』の情報を天界安全保障会議に知らせ、
全面支援の取り付けに成功・・・
生餌の『ご主人』も『12人の守護天使』も無事でしたし・・・
これでますます我々『特務機関フェンリル』の株があがりますね」
そう語るセリーナの声も表情も誇らしげである。
黙って報告を聞いていたロイであったが、突然訊ねる。
ロイ「サキはどうした?」
セリーナ「力を使い果たし、昏睡状態です」
誇らしげな表情が一変、友人兼部下を気遣う、心配そうな表情に変わる。
そんなセリーナにロイはねぎらいの言葉をかける。
ロイ「・・・ご苦労、下がっていいぞ。サキを見舞ってやりたまえ」
セリーナ「は、お心遣い感謝致します。それでは失礼致します」
ロイ「『あの者』も不甲斐無いな・・・」
独りになったロイは忌々しげに呟く。
ロイは眼鏡を外し、デスクの上に置く。
そして懐から鍵を取り出し、鍵のかかった引出しを開ける。
そこから「最高機密」の判が押された<外部戦力>と書かれた書類の束を取り出した。
その中の闇のロードに関する事柄が書かれているファイルを引く抜く。
ロイ「相打ちか・・・せめてそれに近い状態ならわたしの計画にも・・・
まあいい。計画を知ったとして・・・サキがどう出るか・・・
セリーナも・・・真の全容を知ったらどうなるか・・・
まだまだ不確定要素が多過ぎるな。
フン、今は精々・・・サキの功績で恩を売っておくか・・・
・・・メガミやD.F.どもに・・・」
闇のロードに関わるファイルを握り潰す。
その刹那、ロイの手から漆黒の炎が噴き出す。
対象の全てを焼き尽くすまで決して消える事の無い、地獄の炎が・・・
ファイルを灰にしていく炎を映した、ロイの瞳の色は・・・
まるで・・・全てを憎み・・・拒絶するかのようであった・・・