夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.8「モロゾフの陰謀」

時は流れて3月14日。この日、日高家に差出人不明の小包(クール便)が届いた。
カルテットがもてあましていたところに、光彦が帰ってきた。

光彦「ただいまー。」
ひとみ「あ、ご主人様。これは一体なんですか?」
あすか「何か…とても不気味で…開けられないんです…。」
光彦「おお、届いたか。良かった良かった。」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「?」
光彦「今日はホワイトデー、ということでみんなにプレゼントを届けようと思ったんだ。」

そう言って光彦は、小包を開けた。

光彦「まずはひとみにはべっこうアメ。」
ひとみ「あ、ありがとうございます。」
光彦「みゆうにはトマトジュース。」
みゆう「ありがとう。」
光彦「あすかにはミネラルウォーター。」
あすか「ありがとう…ございます…。」
光彦「そしてまゆりには青菜。」
まゆり「ありがとうございます。」

と、各人へのプレゼントが終わったところで、光彦はもう一つのプレゼントを出した。

光彦「実はね、僕を含めての全員用のプレゼントがまだ残っているんだ。」
ひとみ「それどういうことですか?」
光彦「今回は奮発して生チョコというものを買ったんだ。前に友達に食べさせてもらったんだけど…
   とてもおいしくてさ。」
みゆう「本当?」
まゆり「では早速お茶にしましょうか。」

こうして、五人による特別ティーパーティーが始まった。
しばしの団欒の後、光彦がポツリとつぶやいた。

光彦「はじめて食べた時よりもおいしいな…。」

だれもこの呟きには気付かなかったが、皆思いは同じであった。

(五人でいるからおいしいんだ。五人でいるから楽しいんだ。)

と…。

おわり


当初はショートショートの予定でしたが、中途半端な長さになってしまったので、二つの話を無理やり一本化してしまいました。
ちなみに、私は、バレンタインでチョコを(他人から)もらった記憶がごくごく薄い人です。最後にもらったのはいつの日か…。


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