不意に、あすかは声が聞こえてくるのを感じた。
光子「さあ、今日こそゴキブリを殲滅してやるわ。」
その数分後、あすかは、急に息が苦しくなった。バルサンである。
あすか「息が…息が…ご主人様…。」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「ああっ!」
あすかは目覚めた。どうやら他の仲間も起きているようだった。
あすか「今の夢は…。」
ひとみ「あ、あすかさんもですか?」
みゆう「あたしも今怖くて起きたところなの。」
まゆり「またみんなで起きてしまいましたわね。」
この所、カルテットの四人は夢見が極端に悪かった。
確かに、今までも、自分が殺される夢は見てきた。だが、悪い夢というのはこの種のものだけだったし、その間隔も決して頻繁に、というわけではなかった。
だが、このところは、まさに毎晩悪夢が落ちてくる、という感じなのである。しかもそれがバラエティーに富んでいるのだった。
例えば、電話を取ったら光彦に「もう君たちとは会いたくないから勝手にどこかで死んで。」といわれる夢だったり、変な男に襲われて押し倒されて服を破かれて以下略、という夢だったり、公衆の面前で服が消えて裸を見られる夢だったりという感じである。
おかげで、四人は疲れていた。だが、心配をかけたくないので光彦には黙っていたのだった。
この晩も、もう少し様子を見よう、という結論に落ちついた。
だが、その次の晩に、史上最悪ともいえる悪夢が四人を襲ったのである。
四人は、凶器を手にした民衆に追われていた。
民衆「魔女め!」
民衆「悪魔の手先に死を!」
四人は懸命に逃げていた。
ひとみ「やめて下さい!」
あすか「殺さないで下さい!」
みゆう「許して!」
まゆり「わたくし達が何をしたと言うのですか!」
だが、必死の逃亡もむなしく四人はついに捕らえられ、民衆の手によって磔にされてしまった。
民衆「魔女に死を!」
民衆の頭「やれっ!」
とその時、やや遠方から声が聞こえてきた。
光彦「やめろ!」
どうやら光彦が助けに来てくれたようだった。
光彦「その子達をはなせ!」
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「ご主人様!」
民衆「なんだお前、魔女に味方するのか?」
民衆「お前も悪魔の手先!」
民衆の頭「まずこいつからだ!」
光彦は興奮した民衆に取り囲まれた。そして、なにかが破裂するような音がした後に民衆が光彦から離れると、そこにはもはや冷たい人形と化した光彦の姿があった。
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「ご主人様ぁ!」
民衆「今度こそやってやる!」
民衆「悪魔に死の鉄槌を!」
民衆の頭「やれっ!」
民衆の槍が四人を突き刺そうとしたその瞬間…
まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「いやあっ!」
光彦「どうしたんだみんな!」
四人の悲鳴を聞いた光彦が駆け寄ってきた。
四人は、今まで見ていた夢の怖さ、光彦の姿を見られた安心感からか、涙がこぼれてきた。そして光彦にすがりついた。
あすか「ご主人様!」
ひとみ「生きてたー。」
みゆう「怖かったよぉ!」
まゆり「わたくし達を助けてください!」
光彦「みんな、何があったのか落ちついて話してみてよ。」
四人は、悪夢に襲われている現状を事細かに話した。
光彦「うーん、これは何かあるのかもしれないね。よし、僕もできるだけ原因を探ってみるよ。」
ひとみ「ありがとうございます。」
みゆう「今日は一緒に寝たいの。」
光彦「ちょっと問題あるかもしれないけど…いいよ。」
まゆり「ありがとうございます。」
こうして、急場をしのぐことはできた。