そして夜。
みゆう「ご主人様、起きてくれませんか?」
その声で光彦は目覚めた。枕もとを見ると、悲しそうな顔をし、手には風呂敷包みを持ったみゆうが立っていた。
光彦「こんな時間に一体どうしたの?」
みゆう「ご主人様、あたしこの家から出て行こうと思うんです。」
突然のみゆうの言葉に、光彦は驚いた。
光彦「いったいなぜ!」
みゆう「こんな体では…ご主人様のお役に立つどころか…失敗ばかりで…
こんなあたしがいても邪魔な…だけ…だから…。」
最後まで言い終わる前に、みゆうは泣き出してしまった。
光彦は、あわててみゆうを説得することにした。
光彦「そんなことはないよ。いいかいみゆう、僕はね、どんなに辛いときも苦しいときも
みゆうの笑顔を見るととても勇気付けられたんだ。僕だけじゃない。他のみんなだってそうさ。」
みゆう「…笑顔?」
光彦「そうだよ。笑っていた方がみゆうらしくて素敵だよ。だから泣かないで。
そしてこれからも笑顔をみんなに見せてよ、ね。」
みゆうはまだ泣いていた。しかし、その涙は嬉し涙に変わっていた。
みゆう「ご主人様…ありがとう…ありがとう…。」
みゆうは光彦の胸にすがりついた。そして、泣き疲れたのか、そのまま寝てしまった。
光彦は、一緒に寝ることにした。