今日は日曜日。日高家に朝が来た。
ひとみ「あ、朝ですね。」
まゆり「おはようございます。」
みゆう「おはよう…ってみんなどうしたの。」
みゆうは、皆の視線がおかしいことを感知した。
ひとみ「あなたまさか…。」
みゆう「?」
そして…
ひとみ「ご主人様、大変です!」
あすか「一大事なんです!」
まゆり「とにかく起きてください。」
ひとみ、あすか、まゆりの三人は、慌てて光彦を起こした。
光彦「あ、おはようみんな…って誰、その子?」
光彦の目には、ひとみ、あすか、まゆりの三人の他に、ダボダボのパジャマの上だけを着た四歳から五歳くらいの女の子の姿が飛びこんできた。
(あれ、この子、誰かを彷彿とさせるような…。)
光彦は嫌な予感がした。
光彦「この子…まさか…。」
ひとみ「そのまさかなんです。」
みゆう「ご主人様、あたし子供になっちゃったの!」
光彦「ど、どうしようか。」
あすか「とりあえず着替えて、朝ご飯を食べましょう。詳しいことはそれからです。」
そこで、五人は着替え、朝ご飯を食べることにした。幸い、なぜか子供用の服が下着からワンピースまであったので、みゆうの服に困るということは起こらなかった。
その後、五人は、目の前の事態についての話し合いを始めた。
まゆり「一体どうしてこういうことが…?」
みゆう「わかんない。朝起きたらこうなってたの。」
あすか「とりあえず今日のところはこのまま様子を見ましょう。」
ひとみ「あたしもそれがいいと思います。」
こうして、いつもとは違うものの、日高家の一日はスタートした。
ミーティングのすこし後、みゆうは床に落ちている箸の存在に気付き、テーブルの上にのせようとした。しかし、いつもは楽勝でできるはずのこの作業が、今日は上手くできない。
苦戦しているところに、光彦が助け舟を出した。
光彦「どうしたの?」
みゆう「お箸が上にのせられなくて…。」
光彦「じゃあのせてあげるよ。」
そう言うと、光彦はいとも簡単に箸をテーブルにのせた。
みゆう「ありがとう、ご主人様。」
光彦「いやいや。」
こうして、箸の問題は解決した。
時は移って昼過ぎ。日曜日ということで、五人で買い物に出ることになった。
だが家を出てすぐに、みゆうが突然に転んでしまった。
みゆう「うわーん!」
光彦「ど、どうしたの、突然転んで。」
みゆう「痛いよー!」
ひとみ「多分、小さい体にまだ慣れていないんだと思います。」
あすか「それに…小さいと…痛みを…より大きく…感じるのではないでしょうか…。」
まゆり「それにしても困りましたわね。」
光彦「じゃあ、僕が残って手当てと留守番をするから、買い物は君たちだけで行ってて。」
まゆり「分かりました。」
こうして、光彦とみゆうの二人で家に残ることになった。
みゆう「ご主人様、ごめんなさい。」
光彦「いや別にいいよ。」
さらに時は移って夕ご飯時。調理を始めようという時に、このような提案がなされた。
まゆり「みゆうは今日は休んだ方がいいですわ。」
あすか「わたしも…そう思います。」
当然みゆうは反発した。
みゆう「あたしも手伝う。」
ひとみ「でも、調理台に届きますか?」
この一言がかなり効いたようで、みゆうは引き下がった。
しばらくして、夕ご飯は完成した。
みゆう「せめて運ぶくらいはやりたい。」
まゆり「では味噌汁をお願いしますね。」
みゆうは味噌汁の載ったお盆を持った。しかし、力が落ちているのか、落としてこぼしてしまった。
みゆう「ごめんなさい…みんなみんな…だめにしちゃって…。」
みゆうは半ベソになっていた。
光彦「みんな気にしないよね。さあ、片付けようか。」
こうして、夕ご飯は何事も無かったように続いた。しかし、みゆうの顔はしょんぼりとしたままだった。