光彦「ひとみ…逃…げろ…」
光彦がこうつぶやいた瞬間、喧嘩を見にきたギャラリーからどよめきが沸き起こった。
見ると、何とひとみが男をリフトアップしていたのだ! アリの守護天使だから可能な芸当である。
男「え、あの、うそ…。」
ひとみ「さあ、どうしてあげましょうか?」
男「ごめん、俺が悪かったよ。だから…。」
ひとみ「問答無用!」
そう叫ぶや、ひとみは流水プールに男を叩き込んだ。
男「ぎゃああっ!」
男はドザえもん状態で力なく流れ去って行った。
ひとみ「ご主人様、大丈夫ですか?」
光彦「ひとみこそ、あんなことして…。」
ひとみ「ご主人様のためでしたらこの位…あっ、腰がいたたた…。」
どうやらかなり無理したようであった。
と、その時、
まゆり「ご主人様ー。」
あすか「ひとみちゃーん。」
みゆう「あ、いた、あそこ!」
心配になった三人が探しに来たのだ。
まゆり「一体何があったのですか?」
ひとみ「あ、大丈夫です。悪い虫は追い払いましたから…。」
あすか「…悪い虫?」
みゆう「あたしたちはいい虫?」
光彦「ああ、君たちは最高にいい虫だよ。」
そう言って、光彦は四人を抱き寄せた。
ギャラリーから拍手が起こった。
帰り道。ひとみは光彦におぶさっていた。
ひとみ「すみません、こんなことまでしてもらって…。」
光彦「いえいえこの位。」
みゆう「いいなー。あたしも怪我したいなー。」
光彦「僕はね、みんなが健康なのが一番幸せなんだよ。」
いつのまにか、あれほど気になっていた暑さはなくなり、さわやかな風が吹きぬけて行ったのであった。
おわり