夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.5「夏の定番」

光彦「ひとみ…逃…げろ…」

光彦がこうつぶやいた瞬間、喧嘩を見にきたギャラリーからどよめきが沸き起こった。
見ると、何とひとみが男をリフトアップしていたのだ! アリの守護天使だから可能な芸当である。

男「え、あの、うそ…。」
ひとみ「さあ、どうしてあげましょうか?」
男「ごめん、俺が悪かったよ。だから…。」
ひとみ「問答無用!」

そう叫ぶや、ひとみは流水プールに男を叩き込んだ。

男「ぎゃああっ!」

男はドザえもん状態で力なく流れ去って行った。

ひとみ「ご主人様、大丈夫ですか?」
光彦「ひとみこそ、あんなことして…。」
ひとみ「ご主人様のためでしたらこの位…あっ、腰がいたたた…。」

どうやらかなり無理したようであった。
と、その時、

まゆり「ご主人様ー。」
あすか「ひとみちゃーん。」
みゆう「あ、いた、あそこ!」

心配になった三人が探しに来たのだ。

まゆり「一体何があったのですか?」
ひとみ「あ、大丈夫です。悪い虫は追い払いましたから…。」
あすか「…悪い虫?」
みゆう「あたしたちはいい虫?」
光彦「ああ、君たちは最高にいい虫だよ。」

そう言って、光彦は四人を抱き寄せた。
ギャラリーから拍手が起こった。

 

 

帰り道。ひとみは光彦におぶさっていた。

ひとみ「すみません、こんなことまでしてもらって…。」
光彦「いえいえこの位。」
みゆう「いいなー。あたしも怪我したいなー。」
光彦「僕はね、みんなが健康なのが一番幸せなんだよ。」

いつのまにか、あれほど気になっていた暑さはなくなり、さわやかな風が吹きぬけて行ったのであった。

おわり


どうしても水辺の話が書きたかったので。

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