夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.5「夏の定番」

光彦の心配はあたった。案の定、ひとみは変な男に絡まれていたのである。

男「ねえねえ、俺と泳がない?」
ひとみ「やめて下さい!」

その現場に、光彦は割って入った。

光彦「こいつに手ェ出すな!」
男「なんだと、文句あんのかよ?」
光彦「あ、あるさ。」

売り言葉に買い言葉でこういうことになってしまったが、それは光彦にはあまりに無謀なことであった。
何しろ、男は光彦より十センチは大きそうなマッチョマンで、喧嘩やりなれてます、という雰囲気が全身からみなぎっていた。まともにやったら光彦に勝ち目はないだろう。

男「そうかい、じゃあ文句言えないようにしてやるぜ!」

こうして、男と光彦の一方的な喧嘩が始まった。
光彦は、「守る!」という使命感で奇跡的な粘りを見せた。しかし、実力差は埋め難く、四分ほどして、ついに

光彦「も…もうダメ…。」

と倒れこんでしまった。

ひとみ「ご主人様、しっかり、ご主人様!」
男「ふん、弱いくせに手こずらせよって。」

その時、ひとみが怒りの炎をみなぎらせて男と対峙した。

ひとみ「よくもご主人様を…。」
男「ご主人様? お前はあいつの奴隷か?」
ひとみ「あたしはご主人様をお守りする守護天使です。ご主人様を傷つけたあなたは
    絶対許しません!」
男「おもしろい。やってもらおうじゃん。」

こう言うと、男はひとみに猛然ととびかかった。


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