かつみ「待ちなさい!」
饗介「待つもんかい!」
饗介は「しつじの世界」にある刑務所を脱獄、そのせいでD.F.4人娘に追われていた。
しかし…
かつみ「あ、あれ?」
ともみ「見失ったか…。」
あや「く、悔しい…。」
なたね「次こそは…。」
逃亡には一日の長のある饗介は、あっさりと4人をまいてしまった。
(よっしゃ、逃亡成功!「しつじの世界の脱獄王」と呼んでくれ!)
かつて、「昭和の脱獄王」とうたわれた白鳥由栄は、刑務所の人権意識の希薄さを告発すべく脱獄をしたことがあったという。だが、この饗介にそのような高尚な目的などあるはずもない。彼の目的はただ一つ、「カルテット(特にまゆり)に思いっきりいたずらをする!」、それだけであった。
さて、めでたく(?)脱獄に成功し、地上に降り立った饗介は、いたずらのネタ収集をすべく、青空古書市をさまよい歩いていた。
(何かいいネタないかな…。)
とその時、ある怪しげな本を発見した。
そのタイトルは、「人形の魔術」といういかにもなものであった。
(「人形の魔術」…?)
饗介は、思わず手に取り、中身を確認した。すると、たちまちその本の虜となってしまった。
(これは…使える!)
饗介は、売り子を超能力で騙してその本を入手し、早速人気のないところで熟読した。
(ふんふん、この本の通りの方法で操りたい人間とそっくりの人形を作り、最後にその人間の髪の毛を人形に入れる、か…。すごいな…。)
饗介の脳裏に、人形によって操られるまゆりの姿が浮かんだ。
(ふふふ、これは実行あるのみだぜ!)
妄想でハイになった饗介は、すぐに作戦を実行に移した。
まず、まゆりの髪の毛を入手することからである。
饗介は、日高家の近くのマンホールから下水に入ることにした。元々ハエなので、その方面の適応力には優れたものがある。しかし、作業は困難を極めた。
何しろ日高家は集合住宅、排水が他の家のと混ざってわかりにくいことこの上ない。
それでも、まゆりの髪の毛は絹糸のように美しい白銀の長髪、特徴のあるものだったので、どうにか発見し、入手した。
(やれやれ…。さて、お次はっと。)
続いて、まゆり人形の製作である。こちらは饗介に呪術系の知識があったので、比較的楽に済んだ。
(よし。後は…ふっふっふ…。)
そして…