夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.26「プリティリベンジャー」

ある日、光彦が家へ帰ると、家の扉の前に少女が座っているのを見つけた。

(あれ、ひとみ…?)

光彦が一瞬そう思うほど、遠目で見たその少女の雰囲気はひとみに似ていた。
だが、よく見ると、その少女は髪がセミロングで、穿いているのもキュロットスカートではなくプリーツスカートであった。
さらに言うなら、その少女の方がひとみより天然系であるように思えた。

(やっぱ勘違いか…。)

そう思いながら、光彦は少女に声をかけた。

光彦「ねえ君、僕の家の前でなにやっているの?」
少女「わたし、ひとみお姉ちゃんに会いに来たんです。」
光彦「え?」
少女「確かここにいるはずなんですが…。」

そのような会話をしていると、カルテットの4人が帰ってきた。

まゆり「ご主人様、ただ今帰りました。」
みゆう「あれ、ご主人様何やってるの?」
あすか「その娘は…。」
少女「あ、お姉ちゃんだ。お姉ちゃーん!」

少女は手を振りながらひとみに声をかけた。
ひとみは、見知らぬ少女に突然「お姉ちゃん」と声をかけられ、やや思考が混乱した。

ひとみ「誰ですか?わたしをお姉ちゃん呼ばわりするあなたは…?」
少女「やだなー、忘れちゃったの?」

少女はそう言うと、いきなりひとみの口にキスをした。そして…

少女「思い出してくれた?」
ひとみ「このキスの味は…。あなたひょっとして、さとみちゃん?」
少女「ピンポーン!」
光彦「何だやっぱりひとみの知り合いか?」

光彦が疑問をぶつけてきたので、ひとみはその少女を紹介することにした。

ひとみ「はい。あたしと同じ巣の出身で、あたしの妹に当たるさとみちゃんです。」
さとみ「初めまして。さとみです。」

突然の紹介に、光彦とカルテットの残り3人は驚いた。

みゆう「ひとみちゃん、妹いたんだ。」
まゆり「まあ、アリは社会性の昆虫ですから姉妹ならたくさんいるでしょうが…。」
あすか「それでも…このように…転生してくるなんて…思わなかった…です…。」
ひとみ「ところでさとみちゃん、何でここに来たんですか?」

ひとみの質問に対し、さとみは少し笑いながら答えた。

さとみ「実は、わたし守護天使になるために実習に来たんです。」
光彦「実習?そんなシステムあるの?」
さとみ「はい。光彦さんとは違うご主人様なのですが、一度ひとみお姉ちゃんの仕事ぶりを見て、
     守護天使の心意気を学びたいのです。」

さとみの向上心のあるセリフに、ひとみや残りの3人は感じ入った。

ひとみ「さとみちゃん…あの、ご主人様、さとみちゃんをしばらく置いてあげてもいいですか?あたし、
     さとみちゃんの気持ちに応えたいんです。」
まゆり「わたくしからもお願いします。」
みゆう「あたしも!このさとみちゃんって娘、すごいと思うもん。」
あすか「わたしも…そう思います…。」

4人の頼みに、光彦も心を動かされた。

光彦「よし分かった。さとみちゃんとやら、しばらく家で一緒に過ごすといいよ。」
さとみ「あ、ありがとうございます。」

こうして、さとみは光彦の家でしばらく過ごすこととなった。
だが、その時にさとみが光彦に対して殺意にあふれた視線を浴びせたことに、まだ誰も気付いていなかった。

 

 

さて、さとみが入って少女が5人となった日高家は、より明るさが増した。
さすがにひとみの妹だけあって、さとみはかなりの働き者であった。そのおかげで、家事のスピードは上がった。
また、さとみの天然系でほがらかとしたキャラは日高家にまた新たな風を吹き込んだ。
特に、ひとみは仲が良かった妹が来たことでより元気になり、姉妹のほほえましい情景がそこここで見られるようになった。

さとみ「お姉ちゃん、おはじきしよう。」
ひとみ「いいですよ。今日は負けませんからね。」
まゆり「ふふっ、仲が良くていいですわね。」


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