ひとみ「うっ!う…う…。」
ひとみはその場に崩れ落ちた。
その様子に、光彦とカルテットの残り3人は衝撃を受けた。
光彦「ひ、ひとみ!」
みゆう「ひとみちゃん!」
一方、図らずも最愛の姉のお腹に包丁を刺してしまったさとみも、衝撃を隠せなかった。
さとみ「お姉ちゃん…どうして…?」
ひとみ「あたし…ご主人様のことが大好きだから…。ご主人様は…何があっても…命に代えても…
守り…たかった…か…ら…。」
そこまで言ったところで、ひとみは意識を失った。
みゆう「バカバカァ!ひとみちゃんを返して!返…して…。う…うええ…。」
みゆうは、さとみにすがりついて泣いた。
一方、まゆりとあすかも、
まゆり「血がどんどん流れていますわ…。」
あすか「顔色が…悪くなって…いきます…。」
出血多量のひとみを前にして涙にくれていた。
光彦「ひとみ…。刺されるべきなのは僕だったのに…。」
光彦だけは泣いていなかったが、必死に泣くのをこらえているようであった。
一方、悲しみにくれる4人を見ていたさとみは、ある決心をした。さとみは、ひとみのお腹に刺さっている包丁を抜き、ひとみの手を握りしめた。
光彦「さとみちゃん…?」
さとみ「今、わたしの生命エネルギーをお姉ちゃんに送ります。今ならまだ間に合うはずです。」
果たして、さとみの言葉通り、ひとみの顔には血色が戻り、傷口もウソのようにふさがった。そして…
ひとみ「あ、あれ、あたし…。」
ひとみの意識が戻った。それと時を同じくして、さとみが床に倒れ込んだ。
ひとみ「さとみちゃん、あなたまさか…生命エネルギーをくれたの…?」
さとみ「う、うん…。そうだよ…。」
ひとみ「そ、そんなことしたら死んでしまうではないですか!」
さとみ「わたしは…お姉ちゃんに…すごく…大切なことを…教わった…気がするよ…。今度…生まれ
変わる時は…天使のような…女の子に…なりたい…。もう…決して…人間を…恨みたくは…
ない…か…ら…。」
さとみは意識を失った。そして、さとみの身体は地上からすっかり消え失せた。
ひとみ「さとみちゃん…。ご主人様、こ、こんなことって…こんなことって!」
ひとみは光彦にすがりついて泣いた。そして一晩泣きあかしたのであった。
それから一週間ほどして。
ひとみはまだ立ち直っていなかった。あの明るい働き者のひとみが、毎日ぼーっとして何もできないのだから、その心の傷の深さが想像できるというものであった。
カルテットの残りの3人はひとみを元気づけようとはしていた。しかし、全く効果がなかった。
とここで、玄関のチャイムが鳴った。
ひとみ「…?」