夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.22「33年目の恩返し」

ある日、カルテットの4人と光彦がまったりと過ごしていると、不意にチャイムが鳴った。

ひとみ「あ、あたしが出ます。はーい。」

ひとみが応対すると、そこにはなつかしい顔があった。

なのは「ああ、ひとみさん。元気にしていましたか?」
ひとみ「あ、先生!お久しぶりです。」

それは、カルテットの4人の恩師、なのはであった。

なのは「ごめんねー、いきなり来ちゃって。」
ひとみ「い、いえ、そんな…。」
なのは「ではお邪魔します。」

そう言ってなのはは家に上がり込んだ。
カルテットの4人は、突然の恩師の訪問に喜んだ。

みゆう「先生久しぶりー!」
あすか「会えて…うれしいです…。」
まゆり「お元気そうでなによりです。」
なのは「皆さんも元気そうですね。」

このように再会を喜び合う5人に、光彦がたずねた。

光彦「ねえ、この女性は誰だい?」
ひとみ「なのは先生です。」
光彦「なのは先生?ああ、写真で見たことある。」

光彦は、少し前になのはの写真を見たことを思い出した。

みゆう「そうそう。その先生なの。」
なのは「あなたが4人のご主人様ですね。初めまして。ただ今紹介に預かりましたなのはです。」
光彦「あ、どうも。日高光彦です。初めまして。」
まゆり「ところで先生、今日は何をしに来たのですか?」
なのは「ふふ、実はですね…。」

そういうと、なのはは持ってきたバッグから何かを取り出した。

なのは「じゃーん!」
あすか「こ…これは…。」
なのは「新しい身分証明書。とうとうわたしも神様の仲間入りをしたわけ。」

なのはは、カルテットの4人の指導をしていた時は上級守護天使であったが、このたびついに10級神への昇格を果たしたのであった。

ひとみ「わあ、おめでとうございます。」
みゆう「で、用件は自慢だけ?」

みゆうのやや厳しいツッコミに対し、なのははこの訪問の真の目的を告げた。

なのは「実は、どうしても会いたい人がいるのです。」
まゆり「会いたい人?」
なのは「以前に私を助けてくれた人の話をしたことがあったでしょう?」
ひとみ「あ、あの人ですか?」

4人は、なのはが「めいどの世界」時代、しばしば自分を助けてくれたタクシー運転手のことを話していたことを思い出した。

なのは「わたしも神様になったことだし、会ってお礼をしようと思って…。」

なのはは顔を赤らめながら言った。

ひとみ「そうなんですか?それはすごいですね。」
あすか「先生…らしいです…。」
まゆり「がんばってほしいですわ。」
みゆう「がんばれー!」

4人は、なのはの純粋な思いを感じ、心からの声援を送った。

ひとみ「で、どこに住んでいるか分かるのですか?」
なのは「それは…分からないのですが、仕事先は分かるから…そこから当たるつもりです。それでは、行ってきます。」

そう言って、なのはは去って行った。

光彦「いやー、さすがに君たちの先生だけあって、優しいいい人だね。」
まゆり「ご主人様にそう言ってもらえるなんて…。」
あすか「さすが…先生です…。」
みゆう「うれしいなー。」
ひとみ「ぜひ頑張って欲しいものですね。」


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