夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.21「6700」

ある日、日高家に電話がかかってきた。
初めに出たのはみゆうであった。

みゆう「はい、日高です。え?赤と白のチェックだけどそれがどうしたの?
     …うん、じゃあ…。」

謎めいた会話の後、みゆうは電話を切った。

ひとみ「何ですか今の電話は?」
みゆう「うん、『今穿いてるパンティー何色?』て聞いてきたから…。」
光彦「おいそれイタズラ電話だぞ。そんな質問にまともに答えるなよ。」
みゆう「ごめんなさい…。」
光彦「知らなかったんだから仕方ないよ。これから気をつければいいよ。」

このような会話が展開している時、再び電話がかかってきた。

ひとみ「では今度はあたしが出ます。はい日高です……………。」

ひとみは無言で電話を切った。

まゆり「どうでした?」
ひとみ「ええ、『3サイズ教えてよ?』て言ってきました。」
光彦「何だそれ?」
ひとみ「もしかしたら饗介さんかも…。」

ひとみの言葉が終わらないうちに、三たび電話がかかってきた。

あすか「今度は…わたしが…。はい…日高です……………。」

あすかもまた無言で、そして顔を赤らめながら電話を切った。

みゆう「何だって?」
あすか「あの…『今度スカートめくらせて。』…ですって…。」

そう言ったきりあすかは恥ずかしそうに黙り込んだ。

光彦「おい本当にあいつなんじゃ…。」

すると四度目の電話がかかってきた。

まゆり「それではわたくしが確かめましょう。はい、日高です……………。」

そしてしばらくして、

まゆり「絶対にお断りですわ!」

そう叫ぶと、まゆりは受話器を折れよとばかりに叩き付けた。

光彦「どうしたのさ?」
まゆり「やっぱりあいつでしたわ!あいつぬけぬけと『今度××××ヤラせてよ。』
     ですって!全く腹立たしいですわ!」(注:××××は自主規制)

怒り狂うまゆりを見て、光彦はどうにかせねばと思った。
そして、五度目の電話がかかってきた。

光彦「よし、今度は僕が出る!」

そう言って光彦は受話器を取った。

電話の声「おい、今…。」
光彦「おいいいかげんにしろよこの野郎!」

そう光彦が叫ぶと、受話器の向こうから意外な声が聞こえてきた。

教一「おい、どういうつもりだ…。」

その声の主は紛れもなく光彦の兄の教一であった。

教一「せっかく心配して電話してやったのに…何だよその態度は?」
光彦「い、いやそれは…。」

かくして光彦は、釈明に苦労する羽目になったのであった。

一方ここはとある公衆電話。

饗介「あ、あれ?話し中か…。何かトラブルでもあったのかな?」

カンだけは鋭い饗介であった。

おわり


セクハラ。ひたすらセクハラ。


Otogi Story Index - シリーズ小説 - 夢追い虫カルテットシリーズ