夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.19「お二人様専用」

ある夕方、まゆりが一人で街を歩いていると、ふいに後ろからハンカチが当てられた。

まゆり「何を…するの…ですか…。」

抵抗する間もなく、まゆりは気を失った。

 

饗介「まゆりちゃん、目が覚めたかい?」
まゆり「う、うう…。」

まゆりが目を覚ますと、そこは何ともムーディーで怪しい部屋であり、そばにはあの自らの命を奪った呪詛悪魔の饗介がいた。
つまり、まゆりは饗介によってラブホテルに連れ込まれたのである。

まゆり「これは一体どういうことですか!」

まゆりがおびえながらも精一杯気丈に問を発すると、饗介はだらしない笑顔でこう答えた。

饗介「いや、この前まゆりちゃんとやることが出来なかったからさ。さあ、今日こそは
    思いを遂げさせてもらうよ。」
まゆり「いやですわ!あなたなんかにこの身を捧げるものですか!」
饗介「んもー、つれないなあー。」

そう言うと、饗介は正体不明の瓶を取りだした。

まゆり「そ、それは…?」
饗介「これかい?これは超強力なお酒なんだ。しかもえっちな気分にさせる薬入りと
    いう素晴らしい逸品だよ。」
まゆり「そ、それをどうしようと…。」
饗介「決まってるじゃないか。これをまゆりちゃんに飲ませてね…。」

言い終わらないうちに、饗介は瓶の口をまゆりの口に押しつけた。

饗介「ほらほら飲んじゃえ!」
まゆり「や、やめて!」

まゆりは必死に抵抗した。しかし、酒はどんどんまゆりの口の中に入っていく。

(どうしたのでしょうか…。体が…熱い…。)

やがて、まゆりの顔や体がほんのりと桜色に染まった。酔いが回ったのである。
そして、薬が効いたのだろうか、まゆりはとろけた表情で饗介を見た。

饗介「まゆりちゃん…。どうだい、気分は?」
まゆり「わたくし…羽化をしなくては…。」

そう言うと、まゆりは、いつもはない妖艶な雰囲気を漂わせつつ着物を脱ぎ始めた。
饗介は、全く期待通りの展開に興奮した。

饗介「やった、成功だ!」

シュルシュルシュル…。えっちな音をたてながら、まゆりは少しずつ生まれたままの姿に近づいていく。そして、ついにショーツとブラジャーのみを身にまとった状態になった時、

饗介「もう我慢できない!いただきまーす!」

饗介は服を全て脱ぎ捨て、元気な股間を見せながらまゆりに飛びかかった。
と、次の瞬間、

まゆり「わたくしの羽化を邪魔しないで下さい!」

そう叫んだまゆりの蹴りがまともに饗介の頭に入った。

饗介「ぐうっ!」

饗介は、仰向けのまま気を失った。

まゆり「あ、あれ?誰もいなくなってしまいましたわ。」

まゆりは、自分の蹴りによって饗介が床にのびたことに気付かず、ただ饗介が視界から消えたことを不思議がった。
しかし、

まゆり「まあいいですわ。とりあえずご主人様のもとへ帰りましょう。」

すぐに饗介のことを忘れて帰ることにしたのであった。
その際、

まゆり「あ、着物着物。」

幸いと言うか、わずかに残った理性のおかげで、下着姿で外へ出ることだけは避けられたのであった。

その後、饗介は、ホテルの従業員によって全裸で気絶しているところを発見された。

従業員「こ、これは一体…。」

一方、酔いながらもなぜか家にたどりついたまゆりは、そこでも服を脱ごうとした。

まゆり「羽化〜。」
光彦「や、やめなさいって!」
みゆう「うわっ、まゆりちゃんお酒臭い!」
ひとみ「一体何が…。」

ホテルの一室で何があったのか、知る者はいない。

おわり


エロ&パニック&勧善懲悪です。たまには光彦やD.F.の力を借りずに成敗してみたかったのです


Otogi Story Index - シリーズ小説 - 夢追い虫カルテットシリーズ