夢追い虫カルテットシリーズ

VOL.17「セクシーダイナマイツ」

そして、いよいよ到着予定日がやってきた。
皆、(まさか私がセクシーな下着を買ってご主人様とハッピーになろうなんて思ってないでしょうね…。)などと思いながら、そわそわしていた。

ひとみ「みゆちゃん、何そわそわしているのですか?」
みゆう「そう言うひとみちゃんこそ。」
あすか「皆さん…おかしいです…。」
まゆり「あすかも顔が赤いですわ。」
ひとみ「まゆりさんだって人のことは言えませんよ。」

などと、循環問答を繰り返しているうちに、呼び鈴が鳴った。

配達員「すみませーん。ミケネコムサシですが、宅配便をお届けにあがりました。」

その言葉を聞きつけ、四人は一斉にドアに殺到した。

配達員「日高ひとみさん、日高みゆうさん、日高あすかさん、日高まゆりさん、の四人の方ですね。それではサインをお願いします。それにしても、なぜバラバラに注文したのですか?まとめた方が送料は安いですよ。」

この瞬間、四人とも同じことを考えていたのだ、ということが分かってしまった。そして、気まずい空気の中でサインをしたのだった。
サインをし、配達員が帰った後、ちょっとした口げんかが始まった。

まゆり「一体どういうことですの?」
あすか「わたしは…下着なんて…買って…ないです…。」
ひとみ「あたしもセクシーな下着なんて買っていませんよ。」
みゆう「あたしだってセクシーな下着を買ってご主人様に見せようなんて考えてないよ。」
まゆり「わたくしだってセクシーな下着を買ってご主人様に見せてその後ご主人様と愛の世界へ旅立とうなんて思っていませんわ。」
ひとみ「まゆりさん、そんなこと考えていたのですか?えっちですよ!」
みゆう「ひとみちゃんだってえっちだよっ!」
あすか「みゆちゃん…人のこと…言えますか…?」
まゆり「あすかも顔が赤いですわ!」

たわいない独占欲から生じたけんかは続いた。
そして、四十分もすぎたであろうか…

ひとみ「もう、やめにしませんか?」
まゆり「そうですわね。」
あすか「大人げ…なかったですね…。」
みゆう「反省しなくちゃ。」

四人は仲直りした。しかし、まだ問題は残っていた。

ひとみ「どうしましょうか、これ…。」
みゆう「みんなで着ようか。」
あすか「それは…何か…ありがたみがないです…。」
まゆり「あ、わたくし良いこと思いつきましたわ!」

そう言って、まゆりは自分のプランを話した。そして、それは満場一致で可決されたのであった。
いよいよ光彦が帰ってきた。

光彦「ただいまー。」
ひとみ「お帰りなさい。」
みゆう「今日はご主人様にプレゼントがあるの。」
まゆり「開けてみて下さい。」

見ると、机の上に何やら意味不明な小包があった。そして、カルテットの顔は赤いのであった。

(何だろう、一体?)

光彦が不審に思いながら開けると、中からごっそりとセクシー下着がでてきた。
生まれて初めてこの手の物を見る光彦は焦った。

光彦「こ、これは一体…?」
あすか「手紙を…読んで下さい…。」

言われるがままに、光彦は同封の手紙を読んだ。

光彦「なになに、『これはご主人様のために買いました。着てほしいと言われれば喜んで着ますので、いつでも言って下さい。なお、その時は生まれたままの姿もお見せいたします。』?」

などと、手紙には結構過激なことが書かれていた。
その文面を見て、光彦は妄想した。それは、四人が個別に抱いた物とほぼ同じ内容であった。しかし、光彦にはそれが当然四倍の威力で襲うのである。
さらに、最後の「生まれたままの姿」という文句が光彦の脳にとどめを刺した。
そして、光彦は

光彦「頭が…頭が破裂するうっ!」

という一言を残し、鼻血を出して倒れてしまった。

まゆり&あすか&みゆう&ひとみ「ご主人様!」

恍惚の表情で気を失う光彦を見て、「キャラに合わないことはすべきではない」ということを悟った四人であった。

おわり


今回は「カルテットの独占欲」が一つのテーマとなっております。リフレインを使うことでギャグを成立させています。
ちなみに、参考文献はニッセンのカタログの夏号です。


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