みゆう「…ちゃん、あすかちゃん。」
あすかが目を覚ますと、枕元にみゆうの姿があった。
(何…?)
眠い頭で事態を整理しようとしていると、不意にいつもと違う目つきのみゆうが
みゆう「チュー。」
とキスをしてきた。
見ると、まゆりやひとみにもキスをしていた。そして、
みゆう「これでよし。」
そう呟くと、光彦のもとへと向かった。
みゆうは寝ぼけているらしかったが、あすかにはそれが見抜けなかった。
なのであすかは、このままではまずい展開になると予想した。そこで、まゆりやひとみを起こし、事情を説明する事にした。
一方、みゆうは、光彦の枕元で精いっぱいの甘い声で呟いていた。
みゆう「ご主人様、ご主人様。」
光彦「ん…何だい…?」
光彦が半分くらい起きたところでみゆうは本題に入った。
みゆう「今ね…みんなの血を吸ってきたの。」
光彦「え?」
みゆう「だからね、もういつでもご主人様の子供をつくれるの。」
そう言うと、みゆうはおもむろにパジャマを脱ぎ、ショーツのみを身にまとった状態になった。
もはや完全に起きていた光彦はうろたえた。
光彦「え…あ…。」
みゆう「あたしを抱いて下さい。あたし決めたんです。ご主人様に身も心も捧げるって。
そしてご主人様の子供を産むって。」
光彦「あああ…。」
みゆう「あたしとひとつになりましょう。」
そう言うと、みゆうは光彦に抱きついた。
光彦の心はぐらついた。しかし、理性を振り絞って持ち直し、みゆうを引き離した。
光彦「でも、さすがにそういうのはまずいと思う。ひとつになることはできないよ。」
光彦がそう言うと、みゆうは急に涙目になった。
みゆう「ご主人様…あたしのこと…キライですか…?」
光彦は、そのみゆうの様子を見て胸がキュンとなった。
光彦「いや…あの…そういうわけじゃ…。」
みゆう「じゃああたしを優しく包み込んで下さい。それ以外には何もいりませんから…。」
光彦「みゆう…。」
結局、ほだされる形で光彦はみゆうを抱いた。
とその時、あすかと、事情を説明されたひとみとまゆりが起き出してきてしまった。
抱き合う光彦とみゆうを見て、三人は叫んだ。
ひとみ「ご主人様!」
あすか「みゆちゃん!」
まゆり「何をしているのですか!」
しかも、さらに悪い事に、この叫び声がもとでみゆうも目を覚ましてしまった。
みゆう「な、何であたし裸なの?…い、いやーっ!」
それからは大変だった。この事態がみゆうの寝ぼけによって起こったものとは気づかないでいるカルテットの四人は、揃って光彦を非難した。
ひとみ「ご主人様のエッチ!」
みゆう「あたしに何をしようと思ってたの?」
あすか「ご主人様だけは…紳士だと…信じていましたのに…。」
まゆり「見損ないましたわ!」
光彦「だ、だから違うんだよぉ…。」
ひとみ「何が違うんですか!」
光彦「あああ…。」
その後、全ての誤解が解けるまで三日かかったという。
おわり
日高ファミリーもケンカくらいするだろうな…と思ったらできた話です。
まあ、カルテットの四人にとって光彦は「唯一無二、理想のご主人様」ですから、こうした潔癖症的反応も仕方ないのかもしれません。