天使とのゆびきり

 なぜか、俺の目の前にカラスがいた。
 しかも、しっぽをふりふりさせながら。

「あっ、そらちゃん」
「おっす、サキミ」
「どわ!」

 思いもかけない出来事に、俺は思いっきり驚いてしまった。
 か、カラスが喋った…。

「駄目ですよ、そらちゃん。人間さんのカラスさんは喋らないんですから」
「そうだったな。ったく、不便だな」
「……お前の知り合いか?」
「はい。そうですよ。お友達なんです」
「おっす、サキミのご主人」
「…おい〜っす」

 どうしてカラスごときに挨拶をしなければならないのか思いつつ、とりあえず挨拶を返してやる。
 そして、こいつは人間界のカラスじゃないと思った。

「こいつもめいどの世界の住人なのか?」
「う〜んとですね…」
「おいらはサキミの使い魔さ」

 なんか、とあるゲームで出てきた単語が出てきた。

「使い魔……。ファミリアって、やつか?」
「そうですね。上級援護天使になりますと、1人に一匹ずつサポートとして、使い魔が振り分けられるんですよ。基本的に、援護天使はめいど、しつじの区別はありませんから、こうやって、男の子のそらちゃんが私の使い魔になれるんですよ」

 質問の答えが若干それたような感じがするが、まあ、たいていのことはわかった。
 しかし、サキミが来てからというもの、どんどんファンタジーに世界が変わってきたな。

「ところで、何かお仕事ですか? そらちゃん」
「そんなところ。今連れてきているから、会ってやってくれよ」
「はい……と、言いたいところですけど…」

 サキミは俺に、「いいですか?」という視線を送ってくる。
 確かにサキミは、今朝食を作っていて、俺も仕事を控えている。
 これが俺に来た客なら、有無を言わさずに追い返すところが、それがサキミを頼ってやってきたのなら、話は別になる。
 さて、どうしたのものか…。

「あの、私のことなら気になさらないでもいいですよ」
「のわっち!」

 カラス〜そらの後ろから、サキミと同じぐらいの年の女の子が現れた。
 どうでもいいが、こいつら、勝手に人の家に侵入しすぎだぞ。

「あなたが依頼者さんですか?」
「はい。エリナと言います。あの、よろしくお願いしますね」
「……とりあえず、客間に行こうか」

 周りで起こっている内容を一度整理する意味を込めて、俺はこの家で唯一人を通せる客間に移動しようと提案する。

「あっ、ごめんなさいです。ご主人様」
「いいよ。それよりも、サキミは一刻も早く、朝飯を作るように」
「は〜いですぅ〜」
「じゃあ、こっちに」

 俺は二人(1人と一匹?)を連れて、あまり入らない客間へ移動した。
 どうして入らないといえば、単純に汚したくないだけ。

「緑茶でいいか?」
「あっ、おかまいなく」
「おいらは冷たいのにしてくれな」

 カラスの分際で何を言うかと心の中でツッこみつつ、エリナには玉露から入れた緑茶を、そらには冷蔵庫から烏龍茶を、それぞれ出してやった。
 それから数分してから、身なりを整えたサキミがやってきて、俺の隣に座る。

「じゃあ、俺はあっちにいるから、何かあったら呼んでくれな」
「ありがとうございますです」

 この場をサキミに任せて、俺は客間を出て、愛情が詰まった朝食を食べることにした。
 まさか、今日という日が俺にとって、忘れない日になることを知らずに。

<続>


 後書き♪

K'SARS「サキミのお仕事編、突入じゃー」
ミナト「となると、まだまだ他のメンバーは出ないんですね」
K'SARS「とりあえず、これが終わるまではまだかな」
カナト「暴走しないうちに、早く済ませたほうがいいんじゃない?」
K'SARS「ふっ、出ていないやつらに何が出来るか。それに、新たな設定を考えているということを伝えているから、しばらくは大人しくなるだろうよ」
ミナト「そうだといいんですけどね」
カナト「同感です」
K'SARS「さて、さっさと続きを書きますかね」
カナト「でははん!!」

 


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