Happy Angle Paradise!

第6話「嬉し恥かし日曜日」

思いっきり楽しんだオレ達は、最後にデパートでショッピングをする事にした。

ちえこ「真吾さ〜ん、新しいお鍋が欲しいかも〜」
りな「真吾、新しいリップ買ってー!」
ましろ「真吾さん・・・洗濯の・・・洗剤が・・・切れそう・・・なのですが・・・」
ミーコ「お兄ちゃまー、たい焼きアイス買ってー!」

ハア・・・・
オレはため息をつかずにはいられない。

かすみ「フフフ・・・」

それに引きかえ、かすみさんはその光景を見て笑うだけで、何も求めようとしない。

真吾「かすみさんはいいんですか?」
かすみ「フフフ、私は今のままでもいいんです」

かすみさんはニコッと微笑む。

真吾「そう・・・ですか・・・」

そんな事言われてもなあ・・・・
思わず苦しい表情を浮かべてしまうオレ。
どうすればいいんだろう・・・どうすれば・・・・・
オレが悩んでいた・・・・その時。

真吾「おっ・・・」

オレが見つけたのは、1枚の暖かそうなセーター。
見るだけで暖かそうな、桜色のセーター・・・・・

真吾「かすみさん、あれなんてどうですか?」
かすみ「あら・・・・」

かすみさんもそのセーターに気付く。

かすみ「素敵なセーターですね・・・・・ぽっ」
真吾「よろしければプレゼントしますよ」
かすみ「え・・・ええっ!?」

かすみさんは顔を真っ赤にしてオレを見る。

かすみ「で、でも・・・・」

かすみさんはもじもじしている。

ましろ「もらって・・・あげてください」
ちえこ「真吾さんが買ってくれるんですから〜かも〜」

二人がかすみさんにすすめる。

かすみ「はい・・・ありがとうございます、真吾様・・・・・ぽっ」

かすみさんは頬に手を当てて、にっこり笑った。
よかった、うけとってくれて。
オレはほっと一安心する。

ミーコ「お兄ちゃまっ」

ミーコがオレの服の袖をクイクイ引っ張る。

真吾「ん?どないしたんや?」

オレが振り向くと、ミーコは一つの木箱を持っていた。

ミーコ「これ聴いてっ!」

パカッ
ミーコが持っていた箱のフタを開けた。
ぴんぴろりん♪ ぴんぴろりん♪ ぴんぽんぴろりん♪
箱からきれいな音が流れ出す。
どうやらミーコが持っていたのはオルゴールのようだ。

真吾「ええ曲やな」
ミーコ「うんっ、何だか昔のお兄ちゃまとの思い出が浮かんでくるんだよっ!」

ミーコはニッコリ笑って答えた。

りな「タイトルは・・・『One Drop』?涙ってコト?」
ちえこ「ちえこも思い出しちゃったかも〜」

二人も気に入っているようだ。

真吾「よし!奮発してこれも買おう!」
ちえこ「わ〜いかも〜」

大喜びするちえこ。

ましろ「フタの・・・内側が・・・写真立てに・・・なってますね・・・あの写真を
・・・入れておきましょう」
真吾「うん、ナイスアイデアや!」

買い物を済ませたオレ達は、デパートのレストランで夕食を取った。

 

 

 

その帰り道・・・・・

ミーコ「おいしかったねっ!」
真吾「ああ・・・・」

笑顔のミーコになぜかオレはうつむく。

りな「どしたの?真吾は不満だった?」
真吾「いや、確かにうまかったんやけど・・・・・」

今度は空を見上げる。

真吾「何かこう・・・物足りないような・・・気分が・・・」
ましろ「真吾さん・・・・・」

ましろが悲しげな顔を浮かべる。
ぎゅっ

真吾「アハハ、アリガトな、ミーコ・・・・・あ」

かすみ「・・・・・・・」

オレの腕にくっついたのはミーコではなく、かすみさんだった。

かすみ「家に帰りましょう・・・暖かいココアを入れてあげますから」

かすみさんはそっとつぶやいた。

ちえこ「ちえこもお夜食作るかも〜」
ましろ「私も・・・ラーメン・・・作ります」

二人が笑顔で声をかけてくれる。
そうか・・・

オレはレストランのおいしい物よりも、たとえ平凡でも皆が心を込めてくれた物を求
めるようになってたんやな。
嬉しさが胸に込み上げてくる。

真吾「いいですね、何か急にお腹が空いてきましたよ!」
かすみ「はい、私、がんばりますからね・・・・・ぽっ」

かすみさんの顔がほんのりと赤くなった。


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