Happy Angle Paradise!

第5話「ちゃわんむしのおはなし」

翌日

ミーコが公園に向かって歩いていると、マコお姉ちゃまに会ったんだよっ。

ミーコ「あっ、マコお姉ちゃま!」
千里「あ、ミーちゃん、今日は一人?」
ミーコ「うんっ」

その時ね、マコお姉ちゃま、何かを食べてたんだぁ。

ミーコ「マコお姉ちゃま、それってちゃわん・・・・・」
千里「ん、これ?アタシの大好物なのよ、いっぱいあるからミーちゃんにもあげるね」

マコお姉ちゃまはそれを二つミーコにくれたんだよっ。

千里「げっ!もうこんな時間!友達と約束してたのにー!」

ダダダダダーッ!!
・・・・・行っちゃった。
あっ、そうだっ!

 

 

ミーコ「これっ!」
豊蔵「何じゃそれは?」
ミーコ「ちゃわんむしっ!」

ミーコ、マコお姉ちゃまにもらった物をおじいちゃんに出したんだよっ。

豊蔵「おおっ!」
ミーコ「うんっ!」
豊蔵「肉まんじゃ!」
ミーコ「・・・・・え?」

違ってたんだぁ・・・・がっくり。

ミーコ「おじいちゃん、ちゃわんむしって・・・どんなんなのっ?」
豊蔵「・・・・・・」
ミーコ「?」

おじいちゃんはミーコを見たまま黙っちゃったのっ。
ぽんっ!
おじいちゃんは一度手を打って・・・・・

豊蔵「これじゃ」

すぐ近くにあった物を指差したのっ。

ミーコ「おじいちゃん・・・それ『肉まん』って言ってたよねっ」
豊蔵「ふぉふぉふぉ、冗談じゃよ」
ミーコ「むぅー」

笑いながらからかうおじいちゃんに、ミーコ、ほっぺをふくらましちゃったのっ!

豊蔵「ほれ、ミーコちゃんも食え」

おじいちゃんは肉まんを一つミーコにくれたのっ。

豊蔵「茶碗むしかと思って持ってきてくれたんじゃろ?いい子じゃな、ミーコちゃんは」
ミーコ「エヘヘ・・・・」

ミーコ、ほめられちゃったっ。
おじいちゃんと一緒に肉まんを食べてた時、ミーコ、こんな話を聞いたんだぁ。

ミーコ「おじいちゃんはどうしていつも公園にいるのっ?」
豊蔵「ばーさんが死んでからワシは一人じゃから、
   ここしか落ち着ける場所が無いんじゃよ・・・・・」
ミーコ「他の人は・・・・いないの?」
豊蔵「みんなこの山口を離れて広島へ出稼ぎに出ちまったんじゃ・・・・・」
ミーコ「・・・・・・」

おじいちゃん、寂しそう・・・・

ぎゅっ

豊蔵「うん?」
ミーコ、思わずおじいちゃんにしがみついちゃったんだぁ。
ミーコ「約束っ」
豊蔵「何じゃ?」
ミーコ「絶対ちゃわんむし、食べさせてあげるっ!」
豊蔵「・・・・・ありがとよ」

おじいちゃんはミーコの頭をなでてくれたんだよっ。


Otogi Story Index - シリーズ小説 - Happy Angel Paradise!