オレが後ろを振り向くと、そこには一人の女性がいた。
ポニーテールで額部分にサングラスをつけ、Gジャンとジーンズを着こなし、左手にはカメラが握られている。
女性「アンタ、山下真吾よね」
真吾「あ、ああ・・・」
唐突に名前を呼ばれて、オレは何が何だかわからなかった。
女性はオレの前の席に座り、口を開く。
女性「まずは自己紹介しとくわね、私は『チサトマコ』、ま、チサトとでも呼んで」
真吾「ああ・・・」
チサト「アンタ、私の記事を見てたわよね」
真吾「ああ、そうやけど・・・って!じゃあお前が・・・」
チサト「そう、千里眼と書いてチサトマコ」
なんて名前だ・・・
千里「フフフフフー」
千里は突然ニヤニヤする。
真吾「な・・・何やねん、一体」
千里「ずいぶんすごいお弁当ねぇ」
ギクッ!!
千里「大学生ってたいがい一人暮しよねぇー、なんか怪しいなー」
ギクギクッ!!
こ、こいつ・・・まさかオレに探りを入れてる!?
ヤバイ、あんな迷惑記事を出すヤツや、ここで三人の事がバレたらエラい事になる!
真吾「オ、オレの下宿所は賄い付きなんや、でもおばちゃんいっつもいっぱい作るからさー・・・」
千里「残り物にしてはかなりの量だよねぇー」
うぐ・・・・・
千里「素直じゃないなー、もうハッキリ言っちゃえば?」
千里は更にニヤニヤしている。
真吾「何がや?」
千里「彼女と同棲してるって」
真吾「ブッ!!」
思わずふきだすオレ。
真吾「ア、アホか!こんなオレに誰が!それこそ違うっての!」
千里「そりゃそうだよね」
グサッ!
真吾「・・・・・勝手に言ってろ!」
オレは席を立ち、その場を去る。
しかし千里は追いかけない。
千里「覚悟しなさい、山下真吾・・・時間はまだまだあるんだから、フフフフフ」
千里の不敵な笑みに周りの学生たちが退いていた。