ましろと亮の対峙から1日後、閉店した店には、日夜研究を続ける亮がいた。
麺の生地のこね方・材料の割合・麺の太さ・・・
チャーシューに最適な豚の箇所・タレ・焼き加減・・・
ある日、ましろは散歩がてら、功龍の近くまで来ていた。
ましろ(ちゃんと・・・やっているでしょうか・・・?)
その時、ましろの近くで2人の青年の声が聞こえてきた・・・
青年1「さーて、今日はどこ行くよ?」
青年2「ゲーセン行こーぜ、亮も誘ってよ」
青年1「あー、ムダムダ。あいつ、最近ずっと店に篭ってるからよ」
青年2「まさか、マジであんなボロ家継ぐ気じゃねーだろうなぁ・・・」
青年1「ま、いいか。行こうぜー」
その言葉を聞いたましろは、安心してその場を立ち去った。
約束の1か月間近、亮は最後のスープで頭を抱えていた。
材料・茹で時間などなど・・・全てうまくいってるハズなのだが・・・
亮「足りねぇ・・・さっぱりは完璧だが、力になる物が何か足りねぇ・・・」
亮は何度も龍雄のスープを飲み、舌先で味を確かめる・・・
その時、ふと亮の味覚に、ある物が思い浮かんだ。
亮「もしかして・・・」
亮が目を向けた先にあるものは・・・完成していたチャーシューだった。
考えてみれば、このチャーシューのタレのベースは醤油・・・
それに、このこってりとした味・・・
これなら力のある味を生み出せるかもしれない!
澄んだスープの味を殺さぬよう、亮は慎重にタレを加えてゆく・・・
そして、そのスープを飲んでみた。
亮「・・・・・ビーンゴ」
その出来に、亮は思わずニヤッと笑っていた。
そして、約束の日が訪れた。
店の中には龍雄・亮・そして真吾と守護天使達が集まっていた。
龍雄が玄関に「臨時休業」の看板を立てる。
龍雄「これで、邪魔者は入ってこねぇ」
中では先程から、亮とましろが互いに睨み合っていた。
ましろ「・・・その様子だと・・・随分・・・研究なさった・・・ようですね」
亮「ったりめーだ!今度こそキサマの鼻をあかしてやるからな!」
真吾が2人の間に入り、確認を取り始めた。
真吾「ルールは単純明快。お互いにこれだという自信ありの一杯を作り、代表でオレが試食する。最終的に判定が上がった方の勝ちや」
ましろ「はい・・・」
亮「おうよ!」
互いにルールを合意し、真吾はすうっと息を吸う。
真吾「では・・・調理開始や!」
真吾の声と同時に、二人とも迅速な行動を見せた。
まず2つの大鍋からはそれぞれのスープがグツグツと煮えている。
亮はあらかじめ寝かしていた中太麺を取り出し、ましろは細麺を取り出した。
セティ「あら?麺から違ってきたわね・・・」
フリード「何をする気なんだ・・・ましろのヤツ」
そして、ましろはある物体を出してきた。
セティ「あ、あれ・・・」
セティが目を丸くする。
真吾「何や?」
真吾が問いかけた。
セティ「この間ましろに頼まれて、ひとっ飛び仕入れてきた岩塩よ」
真吾「仕入れたって・・・どこまで行ってきたんや?」
セティ「モンゴル」
真吾「ハァ!?」
今度は逆に真吾の目が丸くなった。
かすみ「モンゴル岩塩は塩の味に角が無く、丸みのあるすっきりとした塩スープになるそうです。私も聞いた事があります」
りな「なるほどねー・・・」
ちえこ「何か・・・すごい事になってきたかも〜」