ザアアアア・・・・
降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、オレは1人考えていた。
オレは今までみんなと助け合って生きてきた。
2次元の女の子しか縁が無かったオレの人生が、一気にバラ色になった。
彼女達の想いを受け止めきれる自信はあった。
しかし現実は厳しかった。
跳ね上がるエンゲル係数、大家族並みの集団生活、世間の冷たい視線・・・
千里が彼女になれば、おそらくみんなは目的を拠り所を失ってしまうのだろう。
・・・だとしたら、めいどの世界に逆戻りだ。
オレは、このままでエエんか?それとも、千里と・・・・
声「旦那様ーっ」
真吾「!?」
オレは突然の声に慌てて振り向く。
そこにはバスタオルを巻いたセティがいたのだ。
セティ「お背中お流ししますね、だ・ん・な・さ・ま♪」
真吾「あ・・・え・・・」
わわわっ!お、お構い無しに入ってきた!
ゴシゴシゴシ
結局なすがまま・・・もとい、お言葉に甘えることにした。
セティ「旦那様の背中、広くて素敵・・・」
真吾「そ、そう?」
なんか・・・嬉しいなぁ。
セティ「じゃ、今度は・・・」
真吾「ん、今度は?」
セティ「体で直接♪」
はい!?
セティ「タオルは邪魔だから取っちゃうね」
え、えっと・・・あの・・・あの・・・
りな「セーティーイー!」
りなの怒りの声が響いた。
安心したような、残念なような・・・・
セティ「チッ・・・見つかったか」
ちえこ「セティさん、ひどいかも?!」
ましろ「ずるい・・・」
ミーコ「わーいっ!ミーコもご主人ちゃまの背中、流すぅ!」
かすみ「・・・ぽっ」
みんなの怒りの視線が(ミーコだけはわかってなさそうだが)セティに向けられた。
セティ「あらー、てっきりみんなこんな事してたんじゃないかなーって思ってたけど、実はみんな経験無しなのねー、お子ちゃま!」
守護天使達「!!」
みんなの顔が引きつった・・・ヤ、ヤバイ?
りな「ご主人様・・・」
真吾「・・・ハイ?」
りな「アタシにも洗わせてーっ!」 がばっ!
ましろ「私の方が・・・きれいに・・・洗えます・・・」 がばっ!
ちえこ「ちえこもやりたいかも〜」 がばっ!
かすみ「は、恥ずかしいですけど・・・私も!」 がばっ!
ミーコ「じゃあミーコは前を洗うねっ!」 がばっ!
セティ「それはダメー!」 がばっ!
全員が飛び掛ってきたのだ!
真吾「わああーっ!みんなが壊れたーっ!!」
刹那!
ボコッ! バコッ! ガツン!
6人「・・・きゅう」
6人は漫画のようなタンコブを作って気を失った。
フリード「何やってんですか、殿・・・」
ジョニー「ったく、こんなうらやましい事、オレが代わってやりたいくらいだぜ」
洗面器を持った2人が立っていた。
真吾「ア、アリガト・・・」
思わずオレには、また苦笑いが浮かんでいた。
かすみ「では、おやすみなさいませ、ご主人様」
真吾「おう」
深夜になってみんなが眠る頃、ようやくオレのわずかな自由時間となる。
タバコをふかし、アニメを見て、ゲームをして、論文を書く・・・
こんな事、みんなが来る前は普段どおりだったのに、どうしてこんな時間にしかできなくなったのかな・・・
フフッ、それも出来なくなるほどみんなといるのがこんなにも楽しいんだ。
・・・決めた、オレはやっぱりみんなと一緒にいたい。
オレはみんなといれたからここまでこれたんだ、みんながいたからこの前の戦いにも勝てたんだ。
どんなに厳しい事が待っていても後ろめたくなんか無い。
大丈夫、何とかなるさ・・・今まで何とかならなかった事って、一応無いもんな。
真吾「さて・・・明日はバイトあるからそろそろ寝るか」
明日もきっと、騒がしいのにのどかな1日が待っているのだろう・・・
オレは期待に胸躍らせながら布団に潜り込み、電気を消した。
ではみなさん、おやすみなさい。
オレはそっと目を閉じた・・・・・