ちえこ「用意ができましたかも?」
買い物から帰ってから数分後、ちえこがみんなを呼ぶ。
真吾「おう、今日は何かなー・・・え?」
オレは目の前の状況にキョトンとした。
テーブルの上にはしその葉や、大根の千切りがのった大きな皿のみ。
おそらく刺身なんだろうが・・・肝心の刺身が無いぞ。
真吾「ちえこ・・・これは?」
訳が解らず、オレはちえこに尋ねる。
ちえこ「ちょっと待ってくださいかも?」
ちえこは一度部屋を出ると、何かを抱えて戻ってきた。
ちえこ「じゃ〜んかも〜!」
全員「おおーっ!!」
全員が目を丸くする。
それもそのはず、ちえこが抱えてきたのは、なんと新鮮な鯛だったのだ。
ミーコ「すっごーいっ!」
かすみ「と・・・とってもおいしそうですね」
ましろ「白身魚・・・・ゴクッ」
ミーコ「わああっ!ましろお姉ちゃま!よだれ垂れてるよおっ!」
真吾「ど、どうしたん、コレ?」
ちえこ「フリードさんがとってきてくれたかも〜」
ちえこは笑顔で答える。
フリード「ま、俺様にかかりゃこんなモンすよ」
ジョニー「海はフリードの庭も同然だからな」
真吾「へ、へぇ・・・」
あまりのすごさに言葉が出て来ない・・・・
ちえこ「はいフリードさん、包丁かも〜」
フリード「ありがとよ」
フリードが包丁を受け取る。
真吾「フリード、さばけるんか?」
フリード「殿、海の男をなめてもらっちゃ困りますぜ」
フリードはニッと笑った。
セティ「いくよー」
フリード「ちゃんと投げろよー」
セティの合図と共に、フリードは包丁を構えた。
セティ「ほーい」
ポーン
セティの投げた鯛が弧を描き、フリードの上まで飛んだ。
フリード「・・・・しゃあーっ!」
ズババババババババッ!!
フリードが目にも見えない速さで包丁を振り回す。
そして・・・
ポトポトポトポト
皿の上から切り身が落ちてきて、やがては豪快な鯛の姿造りが完成した。
パチパチパチパチ
全員が惜しみない拍手を送った。
ジョニー「さすがだな」
りな「ま、まあ、その凄さだけは認めてあげよかな・・・」
フリード「へへ・・・どうもどうも」
フリードは頭をかいた。
真吾「じゃ、いただこうか」
ちえこ「はいかも?」
ましろ「・・・・ゴクッ」
セティ「酢飯も作ったから、これで鯛の握りも出来るわよー!」
そうか、それで酢が必要だったんやな。
かすみ「さ、ご主人様、1杯どうぞ」
かすみさんが缶ビールを開けてオレのグラスに注いでくれた。
真吾「ありがとうかすみさん、グラスも冷やしてくれてるなんて、まさに完璧ですよ」
かすみ「そ、そんな・・・私はただ当たり前の事を・・・ぽ、ぽっ」
かすみさんは頬に手を当て、顔をほんのり赤くした。
さて、じゃあオレもそろそろ・・・・
バァーンッ!
玄関のドアが勢いよく開いた。
千里「やっほー真吾ぉ!夕飯ごちそうになりに来たよー!」
ハイテンションの千里が入ってきた。
真吾「ち、千里・・・だからそういう入り方は困るって・・・?」
オレは千里に注意するつもりが、目が点になる。
千里「・・・・・」
千里が固まっていたのだ。
まるで思考が停止してるかのように・・・・
千里「・・・・はっ!?」
あ、復活。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
・・・アラ?
千里「真吾・・・誰、あの3人?」
真吾「あれ、言ってなかったっけ?」
怒りの色を見せる千里と焦るオレ。
千里「あんた・・・」
真吾「・・・・何?」
千里がオレを睨み付けた、次の瞬間。
千里「あんた・・・そのケまであったの?」
真吾「・・・違います」
千里「へ?そうなんだ、よかったー」
パッと顔色を戻す千里。
何を言い出すんやコイツは・・・
ミーコ「ねえ、そのケってなーにぃ?」
かすみ「そ、それは・・・ぽ、ぽぽぽっ!」
ましろ「もう少し・・・大きくなれば・・・わかります」
ミーコ「えー?」
変な事を尋ねられ、焦る2人。
セティ「ふふっ、ミーコちゃん、そのケってのはねー・・・」
ミーコ「うんうんっ」
笑うセティと興味津々のミーコ。
りな「だーっ!!」
ドッ!!
セティ「うぐぅっ!」
りなのチョップがセティの頭に入っていた。