真吾「やばっ、遅刻遅刻!」
オレは急いで下宿所を出た。
大学生「・・・・・」
真吾「ん?どないしたんや、原田?」
階段を下りると、親友の原田が突っ立っていた。
原田「真吾・・・今、お前んちのベランダから忍者が見えたような・・・」
ギクッ!!
真吾「な、何ワケわからん事を言うとんの!早よ行くで!」
原田「う、うん・・・」
頭に?を浮かべる原田を連れて、オレは大学へと急いだ。
午前の講義が終わり、オレは昼食をとることにした。
・・・って、あら?
真吾「・・・・忘れてもーた」
そういえば慌てて出て行っちゃったんだっけ?
どうりで何かカバンが軽かったような・・・・
真吾「ま、財布は忘れてないこったし、食堂で何か・・・・」
と、その時、どこかで声がした。
声「お兄ちゃまーっ!」
声「真吾さぁ〜ん」
ま、まさか・・・・
オレが声のした方向を振り返ると、お弁当箱を抱えたちえことミーコが走ってきたのだ。
真吾「ち、ちえこ・・・ミーコ」
ミーコ「お兄ちゃまぁ、ダメだよっ!お弁当忘れちゃ」
ミーコが箱をオレに渡す。
真吾「あ、ああ・・・アリガト」
オレは箱を受け取る。
ちえこ「今日は〜真吾さんの大好きな〜塩鮭弁当かも〜」
ちえこもニッコリ笑っている。
真吾「わ、悪いね・・・」
ミーコ「じゃ、ミーコたち、帰るねっ!」
ちえこ「午後の講義、がんばってくださいかも〜」
2人は走って帰っていった。
真吾「アリガトなー」
オレは手を振ってあげた。
真吾「・・・・ふぅ」
オレはため息を1つつく。
男子学生達「・・・・・・・」
うぐぅ・・・さっきから何やらイタイくらい視線が突き刺さってる。
男子学生「あいつまた・・・」
男子学生「妹か何かかな?」
男子学生「あいつ一体何人女がいるんだ?」
男子学生「俺はアイツを殴りたい!」
男子学生「というより殺したい!」
ああ、もうやめてぇ・・・・
千里「あいかわらずモテモテねぇ、山下真吾くん」
千里がひょこっと姿を現した。
真吾「からかわんでくれ・・・」
千里「あなたがハーレム作ってるって噂、もうかなり広がってるよ」
千里はニヤニヤしている。
真吾「何とかして」
千里「私が何とかできると思う?」
千里は更にニヤニヤしている。
真吾「そりゃそうだよな・・・・」
千里「じゃ、関係ない私はおいとましまーす」
真吾「あ、待って・・・」
千里は笑いながら去っていった。
結局オレは、周りのイタイ視線を我慢しながら弁当を食べたのだった・・・・
真吾「帰りましたー」
オレは玄関のドアを開ける。
セティ「お帰りー、旦那様♪あたし寂しかったのー」
セティが一番に出てきた。
ミーコ「あーん、ずるいよぉ・・・ご主人ちゃまを先にぎゅーってするのはミーコなのにぃ」
りな「こらっ!」
りながセティを振りほどく。
りな「アンタはまだ夕食の準備が残ってるでしょ!」
セティ「はいはい」
セティはキッチンへと向かっていった。
ましろ「全く・・・あの2人は・・・」
ぶつぶつと洗濯物を畳むましろ。
かすみ「ふふ、ライバルを取られましたね」
ましろ「誰が・・・ですか?」
ニッコリ笑って鋭い所を突くかすみに、ましろは頭が上がらなかった。
真吾「よかったら手伝うで、ましろ」
ましろ「いえ・・・私の・・・仕事ですから」
さらっと断るましろ。
真吾「やりたいんや、エエやろ?」
ましろ「・・・では・・・お願いします」
ましろはオレに洗濯物を少し渡した。
セティ「あれー、酢が無いよー?」
セティが棚を覗きながらぼやく。
真吾「よっしゃ、買ってこよう」
ジョニー「いや、真吾は休んでろ、オレが行ってくる」
フリード「いや、俺だ!」
2人が立ち上がる。
真吾「じゃ、オレとE3で行くか」
セティ「へっ?」
真吾「まだこの辺の事は知らんのやろ?買い物ついでに行こう」
ジョニー「ま、真吾が言うんなら」
フリード「殿・・・かたじけねぇ」
こうして、オレはE3を引き連れて外へ出た。
真吾「ちょっと待て」
オレはE3を止める。
セティ「どしたの、旦那様?」
セティが首を傾げる。
真吾「その格好は目立ちすぎる」
フリード「そうですかい?」
E3達は自分のあちこちを見る。
黒スーツに黒帽、グラサンのジョニー。
青いくの一装束のセティ。
そして羽根突きバンダナ、茶色の上着にオレンジのスボンのフリード
フリードは、もともと上半身裸だったのだが、女性守護天使たちの要望で上着を着せたのだ。
・・・が、これはやっぱし目立つよ。
セティ「・・・そうかもしれないわね」
フリード「それなら・・・変身!」
ボム!
煙と共に、ストリートファッションのフリードと着物姿のセティが現れた。
セティ「これでいい?」
真吾「ああ、エエよ」
フリード「あれ?アニキは変えないんですかい?」
ジョニー「これが俺のトレードマークなんだ、変える気は全く無い」
チッチッチと指を立てるジョニー。
真吾「まあエエから、早く行こう」
そして、スーパーに到着。
オレ達は酢の他に、今後の生活に困らないようにいろんな物を買っておいた。
その帰り道・・・・
真吾「?」
数人の女子高生がこちらを見ていたのだ。
しかも何やら憧れやときめきの眼差しで・・・・
真吾「・・・・・・」
その表情で、オレは女子高生達が何を考えてるかがハッキリとわかり、気が萎えてしまう。
フリード「殿、手を振ってやった方がいいですぜ」
フリードが耳打ちでオレに伝える。
真吾「オレじゃねーよ、ジョニーかフリードや」
試しにジョニーとフリードが手を振る。
女子高生達「キャーッ!」
手を振りかえした。
真吾「な」
オレはため息をついた。
真吾「やっぱり顔かよ・・・」
フリード「そ、そんな事は無いですって!殿だって自信を持ちゃあ・・・」
ジョニー「そうそう、胸張ってるからこそ、俺のエレガントさにも磨きがあるってことさ」
セティ「少なくともあたしにとっては魅力的な男性よ」
真吾「そりゃどうも・・・」
慰めになってないような気もするけど・・・・
覚悟を決め、オレも手を振ってみた。
女子高生達「・・・・・」
見事なまでの無反応。
やっぱやらなきゃよかった・・・・