P.E.T.S.[AS]

第7話「すれ違う心」

今日、驚くことがありました。
私を作ってくれたあの方……。あの方が持っていたペンダント、それはとても懐かしいものでした。
私がそれを失ってから……めぐりめぐって、あの方が持っていたなんて……。
でも、おかしなことが起きています。
彼がペンダントを私の顔にかざすたびに……最近、奇妙な邪気が入り込んでくるようなのです。
それまで心地よい気持ちで居たわたしの心に、強い変化が起き始めています。

あの小さな女の子、美月と言ったでしょうか。祐一さんととても仲が良さそうです。
なぜでしょうか。それまでほほえましいと思っていた私が……あの子に、強い嫉妬心を感じ始めているのです。
今はまだ小さな女の子ですが、いずれ美しく成長したら……。
私はどうしてしまったのでしょうか。なぜ、そんな気持ちになってしまうの……。
私は何者なのでしょうか。
私は自分のことをずっと天使だと思っていました。でも、おそらく……違うのですね。
あの方の目を見てわかりました。
私は、かつて人間だったのです。

なぜ、こんな姿になっているのか……あの方のお考えが、わかりません。
私はずっとこの天使の姿で、この屋敷に留まらなければならないのでしょうか。

……出たい。この石の身体から……。もっとあの人を見ていたい。
美月という女の子も、真純という女の子も居ない、二人だけで……。

祐一さんと、ふたりだけで……。


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