【そろそろ……限界が近づいているのかもしれません】
「多少の混乱は仕方ないでしょう。彼女には、どうしても思い出してもらわなければ」
【いずれ、彼女は辛い思い出にぶつかります。きっと、それを無意識に感じ取っているのです】
「誰もが持っている、忌まわしき記憶ですね?」
【特に、彼女は酷いものでした。そしてその思い出は、私たちの……】
「間に合うのでしょうか。修正するには……」
【ここまで来た以上、私たちに引き返す道は残されていません】
「そして、『彼女』を救わなければ……」
【どうやらあなたは、『そちらの方』が優先の様ですね】
「それが私の義務であるような気がします。あるいは……罪滅ぼし」
【わたくしにとっても同じなのです。今までに犯した罪を、償わなければなりません】
「罪ではないでしょう。少なくとも、あなたは最善を尽くしたはず」
【無力に等しかった、わたくしがですか?】
「……………」
【そう、守りたい物を守れなかった後悔。それはたとえ誰であろうと、耐え難い記憶として……残るのです】
「……『彼女』が、目覚めつつあります」
【もう一人の追想が、始まるのですね】
「今は見守りましょう。『彼女達』の夢を……」