広間に戻ると、何故かかすみちゃんが演歌を歌っていた。
かすみ「こんな私でもっ♪ お〜い〜て〜ぇ〜いただけま〜すぅ〜かぁ〜♪」
私「かすみちゃん?」
どういうわけか、かすみちゃんの頬がまるでとうがらしの様に真っ赤になっている。足下はふらふらして、目も焦点が定まっていない。
真純「はいはぁ〜い☆ 美月ぃ〜戻ってきたのねぇ〜☆」
ティコ「あの……かすみちゃん……一体どうしたんですか?」
先生が、テーブルにあぐらをかいてジョッキを煽りながらケラケラ笑っている。
真純「それがさぁ〜聞いてよぉ〜☆ エイジがね、エイジがね☆」
エイジ「がっはっは☆ ワシが『お水だよ〜』って言って焼酎渡したんじゃ。
ちょっとした冗談じゃったのに、お嬢ちゃん一気に飲みおってのぉ☆」
私「エイジさん……」
辺りを見回すと、仲間のおじいちゃん達まで居た。
「ひょっひょっひょ☆ 宴じゃ宴じゃ〜」
「エチルでもメチルでももってこんかぁ〜いぃ〜」
ビール瓶をぶんぶん振り回しながら曲芸しているおじいちゃんもいれば、腹踊りしてるおじいちゃんまでいる。っていうか、わりばしを鼻の穴に入れるのはやめようよ……。
かすみ「あ〜〜〜〜☆ ティコさんだぁ〜☆」
マイクを握って熱唱していたかすみちゃんが、ティコを見るなり危なげな足取りでやってきて、彼に抱きついた。
かすみ「ごろにゃ〜ん☆」
ティコ「か、かすみちゃん?」
かすみ「えへへ〜☆ ティコさぁ〜ん☆ 私をオトナにしてくださぁ〜い☆」
ティコ「ちょ、ちょっとっ!」
おじいちゃん達のヤジ1「おお〜☆ いいぞぉ〜嬢ちゃぁ〜ん」
おじいちゃん達のヤジ2「にいちゃぁ〜ん、いっちょ教えてやれぇ〜い☆」
ティコ「何をですかっ!!」
エイジ「がっはっは☆ にぎやかじゃのう☆ ほれ、まっす〜☆ 飲み比べ再開と行こうではないか☆」
真純「お〜ほっほっほ☆ 良くってよ☆ 今度も負かしてあげるわ! 超変身!(ぬぎっ)」
エイジ「超力招来!(がばっ)」
私「二人ともっ! こんなトコで脱がないでくださいっ!!」
おじいちゃん達のヤジ1「おお〜! まっす〜の胸元じゃあああああ☆」
おじいちゃん達のヤジ2「だれかデジカメ持ってこぉ〜い」
あ……あんたら……。
私「先生……書類書き上げなくていいんですか……」
真純「だぁいじょうぶ大丈夫ぅ☆ さっきの催促の電話でも一応『ぬりがとう』という事でまとまったし」
なんなんですか、その『ぬりがとう』ってのは……。
エイジ「ええ〜い!こうなったら下まで脱いでやるわ〜い☆」
真純「あっはははは☆ やっだ〜☆ エイジってばセクシ〜☆☆」
ロック「大混乱……だな」
私「ああう……」
酒池肉林とでも言おうか、もうなんでもありで繰り広げられる宴を前に、呆然と立ちすくむ私とロックでありました。
南無三……。