真純先生とエイジさんが向かい合う卓球台の周りには、いつしか沢山の野次馬ができていた。私やロック、ティコ、かすみちゃんはもちろん、エイジさんの仲間と思わしきおじいちゃん達、そして噂を聞きつけてやってきた人、人、人……。
「エイジさぁ〜ん、軽くひねってやれぇ〜い」
「そ〜じゃそ〜じゃ〜」
仲間のおじいちゃん達の声援が熱い。そんな熱狂の渦の中で、ゲームは真純先生のサーブから始まる。
真純「それじゃあ、『撃たせて』もらうわ。必殺……」
ごくり……。生唾を飲み込み、ティコとロックが真剣な表情で先生の一挙一動を見つめている。真純先生のあのサーブを、果たしてエイジさんは返すことができるのか……。
皆が固唾を呑んで注目する中、真純先生が頭上高く持ち上げたボールを落とし、打った!
真純「女王サーブっ!」
先生のラケットから放たれたボールは1バウンド目で大きく斜めに進路を変え、そして2バウンド目でさらに逆方向へと曲がる。まるで何かの生き物のようなその球の動きを、私たちは全く捉えられない。
だが……。