声のする方向に目を向けると、そこには何かバレエのような奇妙なポーズをとってひたすら辺りに満面の笑顔を振りまいている、小さな背をしたおじいちゃんが居た。
元気が良さそうなのは一目瞭然だが、奇怪なポーズからして常識的な人間かどうかの判断が付きづらいのが悩みどころだ。
おじいちゃん「そこのアンタ、なかなか『デキル』ようじゃのう☆」
そのおじいちゃんは手に持っていたラケットを真純先生の方へ向けて、ニカっと笑った。
ロック「げっ! あんた……」
ティコ「まさか……」
ロックとティコがおじいちゃんを指さして驚きの表情に変わる。なに?ナニナニ? 知り合いなの?
ロック&ティコ「エイジさん!?」
二人の声がハモる。どういうわけだか、真純先生の女王サーブの時以上に驚いていた。2本の人差し指の向こうで、おじいちゃんは少し嬉しそうな顔をした。
おじいちゃん「がはは☆ ロックにティコよ。ひさしぶりじゃのう☆ そうじゃ、鷲のエイジ、堂々の登場じゃ☆」
おじいちゃんのセリフに、驚く私。全く赤の他人かと思っていたら……。
私「え、もしかして3人とも知り合いなの?」
ティコが、私に近づいて耳元で訳を話した。
ティコ(この人は、鷲(ワシ)のエイジという人で、私たちと同じ守護天使です)
えええええええええ!!?? ティコの言葉に、さらに驚く。ティコとロックの他にも、守護天使が存在していたなんて……。
ロック「それにしても、なんでこんなとこにエイジがいるんだ?」
エイジ「がはは☆ ちょっとした息抜きじゃよ。人間界に長く居ると、ご近所の同じ歳の友達が沢山できてな。主人に許可を取って、仲間と一緒に旅行に来ているわけじゃよ☆」
ティコ「そうだったんですか……いや、お元気そうでなによりです」
エイジ「おぬしたちも元気にやっているようじゃな。積もる話は後でゆっくりすることにしよう。今はそれより……」
そういうと、エイジさんは鋭い目線を真純先生に向けた。
エイジ「そこのアンタ。おなごにしてはなかなかの卓球の腕前とみた。素晴らしい素質を持っておるようじゃのう☆」
真純先生も、彼に向かって不敵な笑みを浮かべて応える。
真純「私も、あなたはタダ者じゃないと思っていたのよ。フフ……卓球に対する狂おしいまでの情熱、さっきからビンビンこちらに伝わってきたわ!」
エイジ「がはは☆ ならば、一つお手合わせ願おうかな?」
真純「ふふふ☆ 良くってよ☆ お〜っほっほっほっほ☆」
こうして、真純先生と守護天使「鷲のエイジ」の卓球対決が始まった!