探すと言ってもこのお屋敷は広すぎるので、近くにいる家政婦の人に片っ端からティコの居場所を聞いて回った。
一人の女の人が、庭園で見かけた、と教えてくれたので早速、靴を履いて庭園へやってきたのだった。
綺麗な緑色の芝生が辺り一面を覆っていて、すぐ近くには大きな池があり、所々に立派な広葉樹が生えていた。
ティコを探して辺りをうろうろしていると、視界の隅の木陰から、黒い影がさっと飛び込んできた。
「ティコみーっけ!」
私を見つけて出てきてくれたのだろう。嬉しくなって、私はすぐさまティコを抱き上げる。
「えへへ。覚えててくれたんだね。ありがとうね!」
ティコの細い顔にほおずりする。ティコは目をつぶったまま動かずに、長いしっぽだけをひょいひょい動かしている。
「か〜わい〜!」
ぎゅっとティコを抱きしめたまま、立ち上がろうとしたその時だった。
「あー!可愛い子みっけ〜☆」
うしろから女の子の声が聞こえた。
最初、誰のことを言っているのか分からなかった。
おそらく、私たちの方向を指して言っているのだろうという事は予想がついた。
でも可愛い子と言えば、ティコか私か、どちらかを指していることになる。
どちらだろう。
私は声が聞こえた方へ振り向いた。
振り向いた先15メートルほどの所に、ジーンズにTシャツというラフな格好をした女の子が立っていた。
年の頃は、私よりも5〜6歳ほど年上といったところだろうか。
まるで宝物を発見したかのように目を輝かせて、こちらを見つめている。
そして、その女の子は叫んだ。