真純「んっふっふっふ☆」
私「……」
真純「ふっふ☆」
私「……」
真純「おはよ。美月ちゃん」
私「……おはようございます……」
真純「で、電話に出ないってのはどういうワケ?」
セーターをラフに着こなした真純先生が右手に持っているのは、パール色をしたかわいらしい折り畳み式携帯電話。
後ろではまだ私の携帯がアニメメロディーを奏でていた。
私「え、えと〜……ずっと夢の中でした☆」
真純「嘘おっしゃい! 嘘ぉ!」
私「だってぇ! こんな朝っぱらから電話でたたき起こす方もどうかしてますよ! 大体昨日の約束はどうなったんですかぁ!」
なんらこっちに文句を言われる筋合いは無い。無いがこの人は論理をねじ曲げるのが大の得意である。
昨日の約束だって「覚えてないよ」なんて言われてしまえばもう逆らえない。
ああ……なんて人に師事しちゃったんだろう。こんなことなら約束を紙に書いてサインさせるんだった。まあ、それも「偽造でしょ」とか言われそうだけど……。
真純「だってぇ〜☆ 今日はちゃんとした連絡事項があったんだもん☆」
私「連絡事項? なんですか? それ」
側にいたティコが立ち話もなんだから、と先生を部屋に上がらせた。全く、余計な事を……。
真純「美味しいわね〜。このお茶☆」
ティコ「お徳用のほうじ茶ですけどね」
真純「うううん☆ ティコ君が入れてくれるだけで美味しいの☆」
先生はティコが入れたお茶とロックが差し出したお茶菓子でもてなされていた。
まるで先生が二人のご主人様になったみたいでなんかシャクだ。
私「で、なんなんですか?連絡事項って」
真純「うん、今日の仕事は午前までだから」
私「それだけですか?」
真純「うん」
ちょっと待てい……。
私「それだけで電話して押し掛けたんですかぁ!?」
ティコ「それなら仕事場で連絡しても支障ないと思うんですが」
先生のお茶のおかわりを運んできたティコが申し訳気味に言った。
至極もっともな意見ですな。うん。
真純「それだけじゃないわよ。」
私「なんですか?」
真純「今日、仕事を一生賢明やったら、ご褒美をあげます☆」
まるでガッコの先生の様な事を言う。
ロック「先生ぇ〜すんません。もうお茶菓子切れましたぁ」
真純「あ、じゃあもういいよ。ごちそうさまぁ♪」
私「ご褒美って、何です?」
真純「秘密☆」
…………
……
ティコ「ねっ姉さん! 落ち着いてくださいぃ!」
ロック「美月ご乱心〜!」
真純「ご乱心〜☆」
私「帰れぇええええ〜!!」