店員「いらっしゃいませ。DOCOZOショップへようこそ」
で、今私たちがいるのは携帯電話のお店である。もちろん仕事はそっちのけで……。
真純「う〜ん☆いろいろあって迷うわね〜☆ってな〜に暗い顔してんのよ美月」
私「はあ……」
結局強制的に買わされることになってしまった。もちろん私の全額負担である。
私「買うならもっと他に必要なものとかあるんですけど」
真純「携帯電話とか携帯電話とか携帯電話とか?」
おい……。
真純「自分の携帯でしょ。もっとしっかり選びなさい」
私「もう何でもいいですよう……」
真純「値段はピンからキリまであるわね」
私「いっちばん安いのを!」
見本の値札を端から端まで見て回る。他の客が携帯を実際に手にとって機能を確かめているのとは随分と対照的だが、そんなのどれでも同じような気が……。
真純「ま、こういうのはさ、店員に聞くのが手っ取り早いのよ」
先生は女性の店員の所まで走っていって(走るなよ)、なにか質問している。どうやらどれが安くて機能がいいかというような事を聞いているらしい。
真純「ねえ、いっちばん安くて、いっちばん機能がよくて、いっちばんかっこいいのってある?」
店員「はあ……安くて機能が豊富でデザインが良い物、でございますか?それは……ええと……少々お待ちを……」
真純「どう?」
店員「こういうのはいかがでしょう?」
真純「う〜ん、値段はいいけど……。デザインがダメね」
店員「こちらは」
真純「確かにかっこいいけどさあ。もっと安いのないの?」
店員「そうしますと、あとはこういったものに」
真純「これってzモード対応してないじゃない。いくら安くったってダメダメよこれ」
……
(中略)
……
真純「ねえ、真面目に探してる?」
店員「そう言われましても……」
真純「ぜんっぜんいいのないじゃない!天下のDOCOZOでしょうが!もうちょっとマシなもん作って消費者に還元しなさいよ!パケット料金ばっか取ってないで!」
店員「あの……お客様……一つだけいいものが……」
真純「あるの?」
店員「私どもDOCOZOでは現在次世代携帯電話ZOMAの試験サービスを格安で行っておりまして……」
真純「あのトラブル続出のヤツ?」
店員「はい、相次ぐ不具合のため試験サービス参加希望の方がめっきり減ってしまって……」
真純「で……それ、安いわけ?」
店員「はい、今なら大変お求めやすい価格で機能満載の次世代携帯が……」
あ、先生が戻ってきた。
真純「美月ちゃ〜ん☆」
ぴろり〜♪ぴろりろ〜♪じゃんじゃか♪
真純「すっご〜い♪この着メロ128和音よ!さっすが次世代☆」
私「はあ……そうですか」
さっきからというもの、先生の方が大はしゃぎして買ってきた携帯をいじくりまわしている。次世代だかなんだか知らないけど、今度からこの携帯に先生からの電話が雨あられのようにかかってくると思うと、はっきり言って私にとってはこんなもの呪われたアイテム以外の何物でもない。私の負担じゃなければスキを見てどっかに捨ててやるところだ。
真純「よお〜し!早速どっかにかけてみよう!」
私「ちょっとちょっと!勝手にかけないでくださいよ〜!」
真純「いいじゃない。しっかり使えるかどうか確認しないと。なんつったってあの次世代だし、問題がないとも……」
私「は?」
真純「あ☆そうそう美月お腹空かない?いつものソバ屋に出前頼んでみよ♪」
私「まぁ……それくらいなら」
プルルルルル……。
真純「ああ、どうも〜☆ 藤原でございます☆ いつもの出前頼みたいんですけどぉ〜。はい〜♪ いつもの天ぷらソバ定食に普通のザルを……な、何?わかったわよ。あ、いえいえ、では天ぷらソバ定食二つ☆ はい〜よろしく〜☆」
私「当然これ経費ですよね?」
真純「はいはい、そうですとも」
私「あの、それと、今頼んじゃうと私たちが着く前に出前が来ちゃったら……」
真純「そうならないために、走るのよっ!!!」
私「ああ〜!先生待ってえ〜!!!」