アパートの階段を上ると、二階の私たちの部屋のドアが見える。
二人が来てから、彼らの事をご近所様にどう説明するか、とても骨が折れた。ここは大学の寮とかではないし、べつに男女が同じ部屋に住んでもかまわないのだが、やはりそんな目でみられたくはない。それも、女一人、男二人だ。どんな誤解を受けるか、推して知るべし……。
とりあえず二人は私のいとこ、ということにしてある。ああ、でもそんな弁解をみんなどれだけ信じているか、全く自信がない。
まあそれはおいといて……。
私「たっだいま~」
ドアを開けば、私のお城☆がでむかえる。
ティコ「はい。お帰りなさい」
ロック「お帰り!」
二人の召使いも、うやうやしく私を出迎える……はっ!つい……でも気分はお姫様なのよねぇ。
私「ふう~。今日ももうすぐ終わりだねぇ」
一日のやるべき事を終えた開放感に浸りながら、大きく息を吐く。これで一家団欒の時間を過ごせるのだ。
ティコ「今日も一日、お仕事頑張ってましたからね。それはもうお疲れでしょう」
一家団欒・・・・その暖かさはどんな疲れも癒してくれる。
私「う~ん。でもアシスタントの仕事だもん。別にそんなに凄い仕事してるわけじゃないのよ。ただ先生の身の回りの雑用と買出しとあとまあ、たまに先生の仕事に触らせてもらえるって感じ」
アシスタントの仕事は単調だ。でも先生は優しいし、分からない事があったらちゃんと教えてくれる。それに、話題を呼んでいる先生の作品に、ちょっとだけでも自分が関われてると思うと誇らしくなる。
ロック「それでも大変な仕事だって。疲れて当然。今日はもう早く寝た方がいいぜ」
ティコ「そうですね。夕ご飯はもうできてますよ。食べ終わったら、早めに休んでください。」
よく私を気遣ってくれる。さすがは私のかわいい守護天使達♪
私「ふふ☆ありがと☆今日のメニューは何?」
ティコ「はい。今日は奮発しまして、牛肉のペッパー風味ロースト、トマトのミニピッツァ、サフランの冷たいパスタスープです」
私「う~ん。おいしそ~」
メニューの名前からして、美味しそうだ。
ロック「俺も頑張ったんだぜ? 美月がおいしく食べれるようにと……」
ティコ「足を引っ張ったんでしょう?」
ロック「違う!おまえのパシリを潔く引き受けたんじゃん!商店街を駆けずり回って、鮮度バツグンの選りすぐり食材だけをゲットしてきたってワケ!」
私「あはは、二人ともご苦労様。私は嬉しいよ。クスッ」
二人のやりとりを見ているといつも笑いが止まらない。そういえば、こうよく笑うようになれたのは、彼らのおかげだ。