きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第八話「目覚めし力」

その目を見た千田は鳥肌が立った。
2人の目はまるで死人のように光がなく、焦点が合っていなかった。

千田「まさか・・・・君たちが呪詛・・・」

千田が聞こうとした瞬間!!

並森「ウガァァ!!!」

突如として並森が千田に襲いかかった。

千田「ぅっ!!!!」

並森のパンチを思いっきりおなかに食らった千田はその場に倒れこんだ。

きよ「お兄ちゃん!!!」

思わず駆け寄ろうとしたきよを恵が止める。

恵「ダメよ、きよちゃん。危ないわ!!」
きよ「でもお兄ちゃんが、お兄ちゃんが・・・」

間髪いれず蹴りを繰り出す並森。
なかなか立ち上がることのできない千田。
その横を通り過ぎる1つの影。大森である。
渾身の力をこめて千田が叫ぶ。

千田「二人とも逃げろ!逃げるんだ!!」
恵「でも千田君っ・・・」
千田「僕は大丈夫だから・・早く逃げろ!!」

一歩一歩きよと恵に近づく大森。

きよ「お兄ちゃん・・・・」

今にも泣きそうな顔のきよ。

千田「大丈夫だから・・・さぁ!!」

恵「すぐ・・すぐ助け呼んでくるからね!!」

恵はきよの手をとり、来た道を引き返そうとふりむいた・・しかし!!

恵「!!」

そこにはもう1人の男が立っていた。

徳森「ゥゥゥ・・・・」
恵「あぁぁぁ・・・・・」

完全にはさまれたきよと恵。もはやどうすることもできない。

きよ「おねえちゃぁん・・・・」

恵に必死にしがみつくきよ。
きよを後ろに隠し、大森と徳森を交互に見る恵。

恵「こ、来ないでよぉ。お、大声出すわよぉ・・・」

2人は止まらない。まるで恵の声が聞こえていないようだ。
大森が懐から短刀を取り出した。
雨に濡れた刃が無気味に光る。

恵「ヒッ!!」

おびえる恵のむなぐらを徳森がつかんだ次の瞬間、
恵は投げられ雨の道に体を叩きつけた。

千田「恵ちゃん!!!」
恵「ァ・・・・ゥ・・・・」

背中を強く打ったようで、息が上手くできないでいる恵。
そうしている間にも大森と徳森はきよに近づき
大森は短刀を、徳森は鉄パイプをふりあげた。

きよ「いやァァああ〜〜〜〜!!!!!!!」

恐怖のあまりその場にしゃがみこむきよ。

千田「ヤメロォォォォォオ!!!!!」

次の瞬間、千田は並森の蹴りをかわし立ち上がり、
持っていた傘で並森のはらに一撃を与えた。

並森「ウグゥッ!!」

その場に倒れこむ並森。
その時千田はすでに大森の背後にまで迫っている。

大森「?!」

大森がふりかえるより早く、上段の構えから大森の頭に千田が面を打つ。
気を失い、倒れこむ大森。
間髪いれず、千田は徳森へと傘を向け胴を打った。
寸でのところでそれをかわした徳森が千田の方に向き直り
鉄パイプを構える。
千田も一歩後ろに下がり、中段の構えで息を殺す。

緊張した空気があたり一面に広がる。
その緊張を破り、徳森が突進してきた。
千田も前に踏み込み鉄パイプを傘ではらい、
すれ違い際に胴を一発打った。

徳森「ゥッ!!」

ふりむいた徳森にすかさず面を打つ千田。

千田「ハァァ!!!」

勝負あった。鉄パイプが手から落ち、徳森もその場に崩れさった。

 

千田一心流奥義・桜花爆雷斬。
幼いころから稽古を重ねていた千田の力が再び蘇った瞬間だった。

千田「ハァハァハァ・・・・」
恵「千田・・・・君・・・・・」
きよ「おにい・・・ちゃん・・・・」

突然の出来事になんと言っていいかわからない2人。その時、


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