千田「ハァハァハァ・・・・・・」
全速力で公園へと走る千田。
その速さはこの前の運動会とは比べものにならないくらい速かった。
千田「ハァハァハァ・・・・・つ、着いた・・・」
ようやく公園に到着したとき、時計は8時半を過ぎていた。
千田「ハァハァ・・・き、きよちゃんは・・・・・」
まわりを見回す千田。
もうきよは帰ってしまったんだろうか?その時
恵「おっそ〜〜〜〜〜いっ!!!」
すごい形相で恵が千田に近づく。
千田「め・・・ぐみ・・・ちゃん・・・・」
肩で息をしている千田。そんな中、恵の怒声が響く。
恵「何でこんなに遅くなっちゃうワケ?!
信じらんない!!女の子2人をこんなとこに待たせておくなんて・・・」
千田に身を寄せ、急に小声になる。
恵「こないだのやつが襲ってきたらどうすんのよっ!!!」
千田「ご・・・・ごめん・・・・」
恵「あたしに謝ってどうすんのよ。
本当に謝んないといけないのは・・・・・」
恵が振り向く。
その視線の先にベンチにちょこんと座るきよがいた。
きよに歩み寄る千田。きよはうつむいたままだ。
千田「きよちゃん・・・・ごめん!!!」
深々と頭を下げる千田。
千田「なんといったらいいか・・・本当にごめん!!!」
きよはうつむいたまま口を開く。
きよ「謝らんといてや、お兄ちゃん。」
千田「?」
きよ「うち、お兄ちゃんは絶対来てくれるってわかってたんよ。
せやからうち、ぜんぜん怒ってへんよ。」
千田「きよちゃん・・・・」
きよ「大丈夫やって、うちぜんぜん怒ってへんから・・・」
きよの声は震えていた。まるで涙をこらえているかのように・・・
千田は膝をつき、きよちゃんと同じ目線となってきよちゃんの顔を見た。
思ったとおり、きよちゃんは目に一杯涙を浮かべていた。
千田「悪い男だ・・・
せっかくの誕生日の主役にこんな哀しい思いをさせるなんて・・・」
きよの涙を拭ってあげる千田。