妃皇子の瞳が紫色に光っている。
ここで呪詛悪魔である妃皇子の特殊能力を説明しよう。
彼女は一種の催眠術が使え、
それを使っている際の彼女の瞳を見たものは
誰であろうと彼女の意のままになってしまうのである。
妃皇子「サァ・・・・ゴイッショニオチャデモ・・・・」
千田「あ・・・あぁ・・・」
フラフラと妃皇子のもとに近づいていく千田。
妃皇子「サァ・・・・オイシイオチャデスヨ・・・」
千田と妃皇子の距離は10センチ以内に縮まっていた。
妃皇子の手が千田の顔に触れ、妃皇子の顔が千田の首筋に近づく。
妃皇子「モウスグ・・・モウスグ・・・・」
妃皇子の口が開き、鋭い牙が無気味に光る。
その牙が千田の首筋に突き刺さろうとしたその時・・・
千田「・・・・きよ・・・ちゃん・・・」
妃皇子「!!」
妃皇子の顔が曇り千田の顔を見返す。
千田「きよ・・・・・・ちゃん・・・・」
妃皇子(この男・・・・・・)
一瞬たじろぎ、後ろに下がる妃皇子。
その瞬間催眠術が解け、千田の意識が戻る。
千田「・・・・・あれ?何かあったのかな?」
なにがなんだか解らずきょとんとしている千田。
呆然としている妃皇子。
千田「あ・・妃皇子さん、どうかしたんですか?」
妃皇子「え・・・いえ、何でも・・・・・」
不意に時計を見ると8時をまわっていた。
千田「あれっ?!もうこんな時間だ!!ヤバッ!」
急いでエプロンをとり、奥においてある荷物を取りいく。
千田「すいません、急いでますので・・・・・お茶は今度また・・・・」
そそくさと店を後に出る千田。
妃皇子「ハァ・・・お疲れ様・・・・・」
それをただただ見送る妃皇子。
妃皇子「・・・・・破られた・・・・私の・・・力が・・・・・・」
見るからに動揺している妃皇子。
後ろから元樹の声がする。
元樹「どうかしたのか?」
急いで動揺を隠そうとする妃皇子。
妃皇子「な、なんでもない!!!!」
逃げるように元樹の横をすり抜け二階へあがろうとする。
元樹「予想以上だった・・・か?」
妃皇子の足が止まる。
元樹「主の守護天使への想い、甘く見ていたようだな。」
妃皇子「き、今日は少し体調が悪かったのだ。それだけだ・・・・・」
二階へ駆け上がる妃皇子。
その姿が消えるまで見ていた元樹が深く息をし
千田が出て行った街の闇に目を向ける。
元樹「・・・・命拾いした・・・・な。」
妃皇子とは対照的にとても冷静な表情の元樹。