玉の傍らに鎮座する狛犬の影から元樹が現れた。
道化師とも思える服に真紅の手袋。
顔は雪のように白く、右頬には涙にも見えるタトゥーがあった。
千田「元樹・・・君・・・」
元樹「もっとも、守護天使の力がなければ
ここに来る事すらできなかっただろうけどね。」
全て知っている・・・そんな面持ちで微笑を浮かべる元樹。
千田「約束どおり来たんだ。きよちゃんを、返して欲しい。」
元樹「いいよ、返してあげても・・・でもね・・・」
おもむろに右手の手袋を脱いだ元樹。
元樹「僕との遊びが終わった後、お兄ちゃんが生きてたらね・・・」
次の瞬間、元樹の右手の5本の爪が伸び、青白く光った。
千田「!!!!」
驚く千田を見ながら楽しそうに元樹は続けた。
元樹「いよいよショーもクライマックスだ・・・・・・
元主の流した血を浴び、朝日とともに新たなる呪詛悪魔
きよの誕生だ・・・・・
ちなみにお兄ちゃん・・・このショーにカーテンコールはないよ・・・」
元樹の顔から笑みが消え、
目にもとまらぬ速さで千田の懐に飛び込んできた。