きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十四話「最終決戦・vs元樹」

千田「クッ!!」

木刀で元樹の爪をからくも防ぐ千田。

元樹「・・・・甘いよ。」

元樹は左手を開き、手の平を千田に向けた。
その手の平から火の玉から現れ、千田を襲った!!

千田「おわっ!!!」

後ろに飛び、寸前でかわした千田。

元樹「僕はあの二人とは違うんだ。
   怒りもなければ人間への想いなんて微塵もない・・・・
   あるのは一つ・・・親を兄弟を仲間を殺された悲しみのみ・・・」

千田が体勢を立て直す前に目の前にいたはずの元樹の姿が消え
千田の頭上に現れる。
バサッ!!

千田「グッ!!!」

元樹の爪が千田の左肩をかすった。
服が裂け、鮮血がにじむ。

元樹「怒りはいつか冷める・・・・想いもいつかは果てる・・・・
   悲しみだけは・・・・・永遠に心に根を張って消えることはない・・・」

千田を追って守護天使7人が神社に着いた。

よしき「ご主人様!!!きよさん!!!」

よしきが千田に近づこうとした・・しかしケンが制止する。

ケン「待てよしき!!」
よしき「何するんですかケンさん!!止めないんでほしいんですね!!!
    僕が・・僕が助けるんですね!!!!」
ケン「落ち着けっつってんだ、バカッ!!!!!!」

ケンが怒鳴る。

ケン「よく見てみるんだ!!」

ケンが指差すほうに目をやる6人。
神社全体が半透明なドームで覆われている。

サファリ「なんだこりゃ?」
まもり「結界・・・・」
ユージ「結界?」
エイジ「ワシらを寄せ付けないために張ったんじゃろ。
    これではワシらは手も足もだせん・・・・・」
よしき「そんな・・・結界を打ち壊す方法は!!」
しあん「しあんたちには・・・・無理だよ、よしき・・・・」
ケン「これを作った野郎は俺達よりも強力な力の持ち主だ。
   これを崩せるのは・・・・メガミ様クラスの者しか無理なんだよ。」
よしき「それじゃ僕たちはご主人様を・・・
    きよさんを助けることは出来ないんですか!!!
    ここでただ指をくわえてみてることしか出来ないんですか!!!!」

言葉が出ない守護天使たち。
誰もがその場に立ち尽くし、千田の背中を見守るしかなかった。

元樹「どうやら二人ともやられたようだね。」

千田の肩越しに後ろを見る元樹。
千田が振り向くと、よしきたちが立ち尽くしている。

千田「よしき・・・・・」
元樹「今この神社は僕の作った結界で守られているんだ。
   あいつらはお前を助けることはおろか、
   この中に入ることも出来ない。無能な連中だよ。
   あんな奴等に・・・束になってたとはいえ、
   やられるなんてあの二人も使えないな・・・・・」

嘲笑を浮かべる元樹。

千田「そんな言い方はないだろ・・・」

千田は向き直り、元樹をにらむ。

千田「あの二人は君の仲間だったんだろ?
   仲間に対して、そんな言い方ないじゃないか!!」
元樹「あいつらが、僕の仲間?クックックッ・・・ハッハッハッハッ・・・」

大声で笑う元樹。

元樹「あんな低能なやつら、僕は一度も仲間だなんて思った事はないよ。
   そうだな・・強いていうなら僕はやつらを使ってやったんだ。
   ただの捨て駒、それだけの存在だよ。」
千田「なんだと・・・・・・・・」

千田の木刀を握る手に力がみなぎってきた。

千田「彼等は・・・彼等だって生きているんだ!!
   命を授かり、自らの意思で君についてきたんだろ!!
   そんなやつらを捨て駒だなんて・・・・・ひどすぎる!!」

木刀を元樹にまっすぐ向ける。

千田「僕は君を許さない・・・・
   君を倒し、きよちゃんを取り戻す!!」

よしきたちが後ろで聞いている。

よしき「ご主人様・・・・・・」
ケン「いいマスターじゃねぇか、よしき。」

肩をすくめるようなポーズをする元樹。

元樹「全くもって、人間らしい偏った思想だ。
   そんな心の持ち主だからこそ、守護天使のような
   烏合の衆がよってくるんだろう・・・・
   いいだろう、心置きなく死んでいけ・・・」

右手は鋭く伸びた5本の爪。
左手には野球ボール大の火の玉。
まさに文字通り「悪魔」の元樹が微笑む。

その瞬間、玉の中で眠るきよの目から一筋の涙が流れたことに、
その場にいる者は誰も気付かなかった・・・・・

闇の大坂。もうすぐ夜明けがくる。
元樹に殺されても、朝日が昇っても、きよを助けることは出来ない。

今、最後の戦いが始まった。

 

つづく


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