きよく!ただしく!!

呪詛悪魔編 第十一話「出陣!きよをとりもどせ!!」

何もない闇の中に一人の少年が浮いていた。元樹である。

恵「元樹・・・君・・」

驚きの色を隠せない恵。
千田は意外なほど落ち着いている。

千田「君が・・呪詛悪魔だったんだね。そして妃皇子さんも・・」
元樹『そのとおりだよ。よくわかったね、誉めてあげるよ。』

冷たい微笑を浮かべている元樹。

恵「そんな、あんな優しそうだったのに・・・・」
元樹『人間は口ではなんとでも言うがやはり外見で何でも判断する。
    もしかしたらこのまま気付かれないんじゃないかとまで思ったよ。
    ホント、単純な生き物だね。』
千田「きよちゃんはどこだ?」
元樹『きよちゃんは僕と一緒にいるよ。
   すごくショック受けてる、そりゃそうだよね。
   あんな光景目の当たりにしちゃったんだから・・・』

元樹の顔はとても楽しそうだ。

元樹『所詮人間とはそういう生き物だ。
   強欲で自己中心的なエゴの塊だよ。
   きよちゃんもやっとそのことに気付いたんだ。』

と、急に元樹の顔から笑みが消えた。

元樹『今宵、守護天使・きよは生まれ変わる。
   朝日が昇るとともに、僕たちの仲間になるんだ。』
恵「仲間って・・・まさか!!!」
元樹『主に対し疑いの心を持ったきよはもう守護天使ではいられない。
   だからいっそのこと僕たちと同じように
   呪詛悪魔になってもらうんだよ。
   そのほうが彼女のためだ。』
千田「ふざけるな!!!」

千田が元樹をにらみ返す。

千田「きよちゃんを呪詛悪魔になんかさせやしない。
   きよちゃんは・・・きよちゃんは僕の妹だ!!!!
   答えろ・・・きよちゃんは今どこにいる!!!」
元樹『妹?フフフ・・・アハハハハハハハ・・・・』

元樹の笑い声が闇に響いた。

元樹『血のつながりもない、ましてや人間ではない元畜生である者が
   妹だと?笑わせるな!!』

今度は元樹が千田をにらみ返した。

元樹『・・いいだろう、最後にチャンスをあげるよ。
   きよの悪魔への転生は明日の夜明けとともに神社でとりおこなう。
   夜明けまでに神社にたどり着けたらきよを解放しよう。
   人間の力、とくと見せてもらうよ・・・・』

そういうと元樹の姿は闇の中に溶けていった。

呆然と闇を見詰める千田と恵。
と、急に千田は奥の部屋に行き、押入れを探り出した。
そして中からほこりをかぶり紫色の布に包まれた
細長いものを取り出した。


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