きよ「私の名はシャーロック・キヨムズ、私立探偵さ。」
千田「シャーロック・・・・」
恵「・・・キヨムズ?」
ぽかんとしている千田と恵。
そんな二人を頭の先からつま先までまじまじと見ているきよ・・・いや、キヨムズ。
キヨムズ「・・・ワトセン君。一つ提案があるんだが。」
千田「ワトセンって・・・もしかして僕のことかな?」
キヨムズ「そのとおりだ。ワトセン君、今日の夕食のメニューだけど
今から変更できるかな?」
ワトセン「え、あ、あぁ、まぁ、できないでもないけど・・・」
キヨムズ「ならば早々に変更することを薦めるよ。
そうしないと横にいるお嬢さんがガッカリすることとなる。」
恵「横にいるお嬢さんって・・・あたしのことよね、たぶん。」
ワトセン「それじゃぁ・・・サラダとカレーライスでいいかな?」
キヨムズ「それならお嬢さんも満足してくれるだろう。」
そういうとキヨムズはまた座布団に腰をおろした。
キッチンに行くワト・・・いや、千田と恵。
千田「確かこないだの野菜も残ってたし・・・何とかなりそうだな。」
恵「でも・・・一体どういうことかしら?千田君の夕飯はすっごく美味しいし、
あたしがガッカリするなんて・・・・
ねぇ、元々今日の夕飯って何にするつもりだったの?」
千田「今日はミートソーススパゲティにするつもりだったんだ。」
千田のその言葉を聞いて、恵はビックリした。
恵「ウソッ!?実は今日お昼に学校の友達とスパゲティ食べに行って
あたしミートソースを食べたのよ。」
千田「あぁ、なるほど。だからきよちゃん・・・じゃなかった、
キヨムズはあんなことを言ったんだね。
昼ご飯と夕ご飯が同じになるのって結構辛いものがあるもんね。」
恵「そうそう、あたしも前にさぁ・・・
ってそんなのんきなこと言ってる場合じゃないわよ!
すごいじゃない!!何であたしを一目見て
昼ご飯と夕ご飯が同じになるって解ったのよ?」
千田「夕ご飯に関しては一緒に買い物に言ったときに話してたから
解っても不思議はないんだけど・・・・」
そういって千田も恵を頭から足までまじまじと見つめた。
恵(な、なんか、こういうのって、すっごく恥ずかしいんだけど・・・)
顔が赤くなる恵。
千田「・・・!!これだ!」
千田は恵の胸元に手をかざした。
恵「ち、ちょっと!!」
パチィィン!!
恵の黄金の右手ビンタが千田のほほに決まった。
千田「いったぁ〜〜・・いきなりたたかなくても・・・・」
恵「あ、ご、ごめんなさい・・・いや、いきなりだったもんでつい・・・」
やっぱ好きな相手にもこういうことやっちゃうんだね、この子は。
恵「あんたは黙ってなさい!!」
ビシィィッ!!
ウグゥゥッ!!
恵「ったく・・・大丈夫、千田君。氷で冷やした方がいいわよ。」
千田「いや、大丈夫だよ。それよりキヨムズが
恵ちゃんの昼ご飯を見抜いた謎がわかったよ。」
恵「どうしてわかったの?あたしがミートソーススパゲッティを食べたって。」
千田「キヨムズは恵ちゃんの着ている白いTシャツの
胸の部分のシミに気がついたんだよ。」
そう言われて、恵は自分の鞄から手鏡を取り出した。
それをのぞいてみると、確かにTシャツの胸元のあたりに所々茶色っぽいシミができていたのであった。
千田「ミートソーススパゲティはどんなに注意深く食べても、
一箇所か二箇所はそうやってはねてしまったりするんだよね。
それに恵ちゃんは結構綺麗好きだし、最近は結構気温も高くなってきてる。
よって同じTシャツを二日続けて着るなんてことはありえない。
そう考えるとそのシミは少なくとも今日のうちについたものだ。
キヨムズもそのシミに気付いたから
恵ちゃんが昼にミートソーススパゲティを食べたことを推理したんだ。」
千田の説明を口を開けてただただ聞いていた恵。
恵「なるほどぉ・・・言われると納得だわ。
それにしてもきよちゃん、
ホントにホームズみたいになっちゃったんじゃないの?」
元々九官鳥だったきよにとっては何か他のものを真似ることなど朝飯前。
しかも守護天使となるとその能力にも一層の磨きがかかったと考えられるのです。
千田「ま、とにかく今回はキヨムズのおかげで、
恵ちゃんがガッカリしなくてすんだんだ。よかったよかった。
さて、そんじゃカレーをつくろっか。」
きよ「お兄ちゃん、うちにもお手伝いさして。」
きよがニコニコしながらキッチンにやってきた。
声もいつもの声に戻っている。
恵「あれ?きよちゃん、もうキヨムズはやめたの?」
きよ「ずっとあのままやと、メッチャ可愛いうちの魅力が
ちょっとなくなってしまうもん。せやから、たまにすることにしたんや。」
恵「あ・・・そう。便利ね、それって。」
千田「そんじゃ、みんなでカレーをつくろっか。」
きよ・恵「ハァ〜〜イ。」