ここは大坂のとある町。
まぁ、読者の皆さんはご存知かと思いますが
この町には一人の平凡な青年と、
その青年を守るために「めいどの世界」からやってきた守護天使、
そしてその隣には青年に想いを寄せる男勝りな女の子が住んでおります。
恵「くぉらぁ〜〜っ!小森ぃ〜〜〜!!」
ドゴォォォォッ!!!
ウガァァ〜〜・・・・・・バタッ
恵「ハァハァ・・・この作品のヒロインのこのあたしを捕まえて
なにが『男勝り』なのよぉ!」
だ・・・だからって・・とび膝蹴りは・・・なしだよぉ・・・
恵「急所ははずしてあげたんだから感謝しなさいよね。
さてと・・・たっだいまぁ〜〜!!」
と、いつものように恵は千田の部屋へとやってきたのであった。
千田はまた、いつものように夕飯の準備をしている。
千田「おかえりぃ〜・・・って、恵ちゃんの部屋は隣なんだけど・・」
恵「いいじゃん、いつも夕飯は千田君ちだしぃ、
もうあたし達3人は家族みたいなもんでしょ?」
千田「家族ねぇ・・・」
にじり寄る恵。
恵「イヤ・・・なの?」
千田「いや・・いやじゃないよ。
ただ、なんとなく嬉しいような気恥ずかしいような・・・・
つまりそれって、僕と恵ちゃんが・・・その・・・ふ・・・」
恵「ふ?」
千田「ふ・・・・夫婦ってことになっちゃったりしちゃったりするんじゃ・・・」
恵「ま・・・まぁ、そういうことかもしんなかったりするかも知んないけどさ。」
一同沈黙。
恵「・・・・おや?」
千田「どうかしたの?」
恵「いつもだったらこういう状態の時にきよちゃんが現れて変に茶化されたりなんかしてあやふやなうちに夕食になだれ込んじゃうんじゃ・・・」
千田「あぁ、きよちゃんだったら・・・」
千田は奥の部屋を指差した。
恵がのぞいてみると、部屋の真ん中で座布団の上に足を抱えるように座り顔の前で両手を合わせただ前をむいているという奇妙な姿の守護天使、九官鳥のきよがいるのだった。
恵「・・・何あれ?新しい遊び?」
千田「実は・・・これが原因なんだ。」
千田は近くの棚においてあった一冊の本を恵に渡した。
恵「『よいこのための物語シリーズ・ホームズの冒険』?」
千田「実は今日二人で買い物に行ったとき、本屋さんに寄ったんだ。
そこできよちゃんがこの本を気に入ったみたいだったから
買ってあげてさ、家に帰ってずっと読んでたんだけど
急にその本を置いてあの状態になっちゃったんだ。
たぶんこのまねだと思うんだけどね。」
そういって千田が開いたページには
いすに深々と座り今のきよと全く同じ格好をしている
一人の紳士が描かれてあった。
恵「つまりきよちゃんは、今ホームズになりきってるってこと?」
きよ「そうじゃないんだよ。」
今まで黙っていたきよが急に口を開いた。
その声はいつもと違い妙に低い声だった。
千田「きよちゃん、どしたの?」