お茶会が終わり、てゅきの提案で2人はもう少し1号館のみんなと遊ぶ事になりました。
てゅき「わーい、わーい、バタバタバター!」
ミーコ「わーいっ、わーいっ、ブーンっ!」
てゅきとミーコは、飛行機の羽根のように腕を広げてはしゃぎ回ります。
ぼふっ
ミーコ「あ・・・」
てゅき「ひゃ・・・」
2人は前に立つましろに受け止められました。
ましろ「騒いでは・・・いけません」
てゅき・ミーコ「はーい」
せかい「・・・・・・」
せかいはいまだに曇った表情でテーブルの隅の席に座っています。
リン「どうしたんですか?せかいさんもこちらでみなさんとお話しましょう」
リンがせかいを誘います。
せかい「いえ、いいんです・・・私の事は気にしなくても大丈夫ですから」
リン「でも・・・・」
リンは困り顔になってしまいました。
せかい「ごめんなさい・・・私、こんな性格だからなかなか友達ができなくて・・・それに、
私はチスイコウモリだから・・・みんなが怖がるといけないから」
せかいはうつむいてリンに話しました。
リン「せかいさん・・・」
しかしせかいの話を聞いていたのが、もう1人いました。
りな「あーっ!もうっ!!」
りなです。
彼女はせかいの消極的な発言についに我慢が出来なくなってしまったのです!
りなの大声にせかいとリンだけでなく、全員「何があったの?」と振り向きます。
りな「アンタねえ・・・いつまでも自分が可哀想だと思ってんじゃないわよ!!」
せかい「あ、ああ・・・ああ・・・」
せかいはりなの叫びに震えが止まりません。
しあん「ちょっと、りな!せかいちゃん怯えちゃってるよ!」
ポカッ!
しあん「はにゃあー・・・」
しあんは説得も空しく、また頭に一撃を受けました。
りな「こんな性格?そんなの少しずつ直してけばいいじゃん!チスイコウモリだから
怖がる?そんなん昔の事でしょ!」
てゅき「やめてりなお姉ちゃーん!せかいちゃんをいじめちゃメーっ!」
てゅきの必死の訴えも、頭に血の昇ったりなには届きません。
りな「アンタはね、友達が作れないんじゃないの・・・作る気がないのよ!!」
せかい「・・・・・」
りな「嫌われるの恐れて・・・壁を作って・・・距離置いて・・・そんなんで本当に受け入れてもらえると思ってんの!?」
りなのとどめの一言が響きました。
せかい「・・・・ううっ!!」
バンッ!!
せかいは止まらない涙を両手で隠しながら1号館を飛び出してしまいました。
ましろ「りなさん・・・言い過ぎ」
りな「何よ!アタシが悪いの!?」
しあん「少なくとも今のトコは・・・・」
ポカッ!
しあん「ふにゃあー・・・」
るり「探しましょう、まだ遠くには行ってないハズですよね!」
ちえこ「行くかも~」
こうしてスレーヌの住人全員によるせかいの捜索が始まりました。
「夢追い虫」の4人の力も借りましたが、せかいの姿は見当たりません。
その内、辺りはすっかり暗くなってしまいました。
てゅき「グスン・・・せかいちゃん、どこ行っちゃったんだろ」
てゅきは涙目で語ります。
かすみ「もう一度この付近をくまなく捜してみましょう」
てゅき「はーい!」
てゅきは一目散に駆け出していきました。
かすみ「さて・・・・?」
かすみは自分も行こうとした時、教会の木陰で小さな人影を見つけました。
かすみは人影にそっと近づきます。
かすみ「・・・・せかいさん?」
せかい「!!」
かすみの声にビクッと慌てたせかいはかすみから逃げようと立ち上がりました。
パシッ
それに気づいたかすみはせかいの手を掴みます。
せかい「いやっ!放してぇ!」
せかいはバタバタとかすみの手を解こうともがきます。
かすみ「せかいさん、落ち着いてください!」
かすみはせかいの体を包むように優しく抱きしめます。
せかい「あ・・・・」
せかいはようやく我に返りました。
かすみ「さあ戻りましょう、みなさんが心配してます」
せかい「・・・・はい」