スレーヌ一号館
そこにはかすみとせかいの2人だけがいました。
1度かすみが連絡を入れようとしましたが、「まだみんなと会いたくない」とせかいが止めたのです。
せかい「・・・・・」
せかいはテーブルの席にだんまりと座っていました。
かすみ「外は寒かったでしょう?はい、どうぞ」
コトッ
かすみはせかいの前に1つのカップを置きました。
その色は白く、ホカホカと湯気を立てています。
せかい「・・・・ホットミルク?」
かすみ「おいしいですよ」
かすみはニッコリとせかいに微笑みかけます。
せかい「・・・・・・こくっ」
せかいはカップを取り、軽く1口飲みました。
せかい「甘くておいしい・・・・」
せかいの顔がぽーっと赤くなりました。
かすみ「どうです?体と心、温まりましたか?」
せかい「・・・・はい」
せかいの表情がだんだんと明るくなっていきます。
かすみ「せかいさん、りなさんはあなたの事が嫌いであんな事を言ったのではないんですよ」
せかい「え・・・?」
かすみ「心を開いて、いつも笑顔でいてください・・・・そうすれば私達はいつでもあなたを歓迎します」
かすみはそっとせかいに語りかけます。
せかい「で、でも・・・こんな私にてゅきちゃん以外に友達がつくれるんでしょうか?」
せかいは不安そうに話します。
かすみ「それなら心配いりません」
せかい「?」
不思議そうな顔をするせかいに、かすみはニッコリ笑って言いました。
かすみ「だって私達は・・・もう友達じゃないですか」
せかい「かすみ・・・さん・・・」
せかいの両目からじわっと涙がたまってきました。
ぽふっ
かすみはせかいを優しく抱きしめました。
せかい「うっ・・・ううっ・・・ううう」
かすみ「ごめんなさい、せかいさん・・・でもこれからは1人ではありませんからね」
その時、全員がスレーヌに戻ってきました。
かすみが密かに連絡を入れていたのです。
翌日
てゅきとせかいは公園で仲良く遊んでいました。
てゅき「昨日は楽しかったね」
せかい「うん・・・・・あっ」
せかいが公園の向こうを歩くかすみを見つけました。
かすみ「あら、てゅきさんにせかいさん」
てゅき「かすみさん、こんにちは!」
かすみ「はい、こんにちは(ニッコリ)」
かすみが優しく微笑みかけます。
てゅき「何してたんですか?」
かすみ「今お仕事が一通り終わったので、お散歩をしようかなと・・・」
てゅき「わあ!じゃあてゅきもついてっていい?」
かすみ「ええ、どうぞ」
せかい「・・・・・」
ぎゅっ
かすみ「あら」
せかいはいつの間にかかすみの左手を握っていました。
てゅき「あっ、せかいちゃんずるーい!てゅきもやるー!」
てゅきもかすみの右手を握りました。
せかい「おかあさん・・・・」
かすみ「え?」
せかい「い、いえ!な、なんでも・・・ないです」
せかいは相変わらず消極的のようですが・・・・もう心配する必要はないでしょう。
だって今のせかいは、とびっきりの素敵な笑顔を見せているんですから!
めでたしめでたし(^^)