せかいとかすみと幸せの味

コンコンコン
 
ある日、天使寮「スレーヌ」の玄関ドアからノックの音が聞こえました。

ちえこ「はいかも~?」

ちえこがカチャリとドアを開けます。

女の子1「こんにちは!」

1人の女の子がペコリと頭を下げます。

女の子2「・・・・・」

もう1人の女の子も、少し慌てた様子で頭を下げました。

るり「どうしたの、ちえこちゃん?」

やがて、住人達が何事かと集まってきました。
 
女の子1「今日からここの2号館に住む事になりましたメダカのてゅきでーす、よろしく
      お願いします、ペコリっ♪」

女の子はそう言うともう一度頭を下げました。

女の子2「あ、あの、あの・・・せかいです・・・」

もう1人の女の子もオドオドした様子で挨拶をしました。

エレナ「あらあら☆かわいいお客様ですわね」

エレナがニッコリ笑って2人を歓迎します。

かすみ「お茶の用意をしますから、あちらでお話しましょう」
てゅき「わぁー、いいんですかー?」
ましろ「・・・構いません」
てゅき「やったー!」

てゅきは思わずとびっきりの笑顔ではしゃぎまわりました。

せかい「・・・・・」
かすみ「ほら、せかいさんもどうぞ」

かすみがせかいにニッコリ微笑みかけます。

せかい「・・・・(こくり)」

せかいは首を少し縦に振りました。

 

2人は1号館のみんなとお茶会をする事になりました。
この日のかすみのお茶は、2人のために「甘い幸せの味」アップルティーを入れました。
カチャ
かすみがティーカップをてゅきとせかいの前に差し出します。

かすみ「はいどうぞ、お口にあえばいいんですけど・・・」
てゅき「・・・・ゴクッ」

緊張しながら、まずてゅきが1口飲みました。

てゅき「おいしい!」
かすみ「まぁ、ありがとうございます」

てゅきの笑顔にかすみはニッコリ。

せかい「・・・・こくっ」

続いて、それを見たせかいが1口飲みました。

せかい「・・・・おいしい」
てゅき「せかいちゃんずるいよー、プンプン」

しかし、せかいの表情はいまだに曇ったままです。

りな「どしたの?」

りなが声をかけます。

せかい「い、いえ、あの・・・私は大丈夫ですから・・・」

せかいは申し訳なさそうに話しました。

エレナ「はーい、ケーキが出来ましたわっ☆」

エレナが大きなケーキを持ってやって来ました。
とっても大きくて豪華なショートケーキです。

てゅき「すっごーい!てゅき、こんなおっきいの食べきれないよー」
きよ「みんなで食べるんや!独り占めはアカンて!」
ミーコ「わーいっ、ケーキケーキっ!」
リン「さすがエレナさん、とってもおいしそうです」
しあん「あれ?まもりはうれしそうじゃないね」
まもり「我は甘味はあまり好きではないのだ」
しあん「あ、そっか」

ケーキをテーブルに置いたエレナは、1つずつケーキを切り始めます。

せかい「あ、私がくば・・・」

カシャン!

まもり「むっ!」
 
せかいが席を立ったその時、ティーカップがひっくり返り、お茶がまもりに飛んできました。

しあん「大丈夫、まもり!?」

慌ててしあんがまもりに声をかけます。

まもり「大丈夫だ」

まもりはしあんを安心させようとなだめます。

せかい「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

せかいはまもりに何度も頭を下げて謝りました。

まもり「気にするな、火傷はしていないから」
せかい「で、でも・・・でも・・・」

せかいの両目からじわっと涙が溜まっていきます。

かすみ「大丈夫ですよ、まもりさんは怒っていませんから」

かすみがハンカチでせかいの涙をぬぐいました。

せかい「は、はい・・・・」


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