15年前のこと・・・
ご主人様が通う学校のクラスに転校生の女の子がやってきました。
ところがその女の子は物静かで暗く、一人で本を読んでいたり、外のベンチに一人で座っているだけで友達と遊んでいる様子は一度も見られなかったのです。
ご主人様は女の子の事が心配で声をかけますが、女の子は「一人のほうが・・・落ち着くから」と言って、ご主人様を相手にしてくれません。
下校の間、ご主人様は悩みました。
どうしたらあの女の子が心を開いてくれるのか・・・
その時ご主人様は見たのです。
あの女の子が普通は近づいただけで逃げてしまうノラ猫を手なずけていたのを・・・
そして、彼女が誰にも見せようとしなかった笑顔を・・・
そうか、と気付いたご主人様は両親にある頼みをしました。
今度の自分の誕生日はあの女の子のために動物を買ってほしいと・・・
そして誕生日にお金をもらったご主人様は女の子をペットショップに誘います。
女の子が一番興味を示したのは、大きなカゴに入ったアライグマでした。
ご主人様がリンゴをアライグマに渡すと、アライグマは近くにあった水桶でジャブジャブとリンゴを洗います。
「クスッ・・・変なの」
あの女の子がご主人様に笑顔を見せました。
その日からご主人様と女の子のアライグマの世話が始まったのです・・・
何でも洗うところから「ましろ」と名付けられたアライグマはすぐに二人と親しくなり、ご主人様と女の子も次第に仲良くなっていきました。
ようやく友達が出来た女の子は次第に明るくなり、学校のみんなとも少しずつではありますが一緒に遊んだりするようになります。
そんな女の子を見ていたご主人様もホッと安心していました。
ましろをプレゼントしてよかったと・・・