ある日、バイトの帰り道疲れた体を引きずりながら歩いていると、
とある家の前で言い争いをしてる親子がいた。
(女の子)「なんで?なんであかんの?いつもきよと一緒やったやん。これからも一緒にいたい。」
鳥かごを抱えて目に涙を浮かべている女の子。
その姿を見ながら途方にくれている父親らしい男の人。
(男)「仕方ないねや、今度の引越し先生き物飼えへんねん。な、ええこやから、きよ逃がしたろ。」
(女の子)「いやや、いやや。うち今まで転校ばっかで幼稚園の友達おらんもん。きよだけがうちの友達やもん。ずっと一緒にいたいもん。」
けなげな女の子の姿を今までいろんな出会いと別れを思い出しながら見ていた僕は
おせっかいだと知りながらつい声をかけてしまった。
(僕)「僕が預かっても良いですか?」
急にはいってきた僕に二人は驚いた様子だった。
(男)「アンタ、誰?」
(僕)「逃がしてしまうくらいだったら、僕に飼わせてください。きっと大切にしますから。」
(男)「でも・・・」
(僕)「そうすれば、また会うこともできるでしょ。友達と二度と会えなくなるなんて、そんな悲しいことありませんから。」
しばらく間があって女の子が言った。
(女の子)「パパ、このお兄ちゃんにきよあげる。」
(男)「ええのか?」
(女の子)「この兄ちゃんやったらきよのこと大切にしてくれる気するもん。お願い、パパ。」
(男)「・・・お任せしてよろしいですか?」
(僕)「はいっ!」
(女の子)「きよゆうねん。きよ、ご挨拶は?」
(九官鳥)「キヨユウネン、キヨユウネン」
(僕)「よろしくね、きよ。」
これが僕の新たな出会いだった。