陰は闇中すら舞い踊る

「成程、アレの真髄は教育能力か」

 上がってきた報告書を読んだロイの第一声がそれだった。

「隠密班で呪詛悪魔とデッドエンジェルを分断し目的地点へ負い込む。 同時に狙撃班を使って無力化、前線部隊で詰み、か」

 まるでチェスのような一連の流れ、しかしそれは。

「相手の思考を読みきり、且つ駒には駒として扱えるだけの練度が要る」

 最初の分断で彼女らに気付かれないだけの力量、窓越しという限定環境で太腿を狙撃する能力。
 何れが欠けてもこの作戦は成功していない、つまり、持ち駒の能力を使い情報でしかない資料からものの数時間でこの状況を作り上げたのだ。
 非凡な状況・心理把握、教育能力。自ら前線に有り机上の空論で無いその才は、つまり現場指揮官として理想に近かった。

「それでいて『誇り』と言うか。 現場にはさぞかし受けが良いだろう、しかし能力に問題は無い」

 最初に発言した意図としてそれが有った、つまり教育出来るということは彼女自身全てをその身に備えている ということである。
 フッ、とロイは一息置いて彼女の処遇を結論付けた。

「まぁ、その程度はやって貰わねばな。 D.F.が全くの無能では此方も動き辛いというものだ」

 或いは彼女への引抜が断られるまで彼の掌上だったのか、余人には知る術も無い。
 今日も世界は、平穏 に、或いはそれを装って回り続ける。


P.E.T.S & Shippo Index - オリジナルキャラ創作